'92 夏の東北(岩手県)ツアー

by 陽子(投稿日:13 Mar 1993)


Map, Click to Popup 日程:1992/7/25(土)〜7/31(金)
参加:那珂夫妻、G
コース概要:=宮古−岩泉−滝沢−藤七温泉−乳頭温泉−網張温泉−小岩井=

1日目:7/25(土) 東京=宮古−(姉ヶ崎)
 東北新幹線にて大宮を朝7:18出発、10:21盛岡着。そこで一両編成の快速リアスに乗り換え、13:53宮古に到着。薄日が差す位の天気。宿へ向かうにはまだ早かったので浄土ヶ浜を観光することにした。
 浄土ヶ浜は薄白い浜と薄白い三角の岩が海の上を点々と続く。雲ってきたせいで空に溶けてしまいそうな物悲しい感じがする。泳ぐには寒そうなのでスワンの足漕ぎボートで水上サイクリング(?)を楽しむ。うみねこにエサ(カッパえびせん)をあげたりして遊んでいると、とうとう雨が降ってきてしまった。
 しばらく雨宿りしたが止む気配がないので仕方なく雨の中を宿に向かう。宿まで6km程、まっすぐに行っていればと後悔してもしょうがない。ビショビショになりながらやっと宿に到着。タオルで体を拭いて、もらった新聞紙を靴の中に詰め、やっと落ち着いたのでチェックイン。ところが予約を受けてないと言われ(そんなバカな!!)、良く探してもらったけれどやっぱりない。「ここは宮古国民休暇村ですよネ?」 「それは別の所です。ここは”国民宿舎”宮古です。」 はずかしい!私達は宿を間違えていたのです。
 宿の人に謝り、せっかく詰めた新聞紙をゴミ箱に捨て(ゴミ箱はあっという間に一杯)、急いでそこを後にした。しかし、その後も道を間違え、どーっと下った坂を引き返しせっせと登ったりと、苦労してやっと本物の宿に着いた。初日から笑える旅の始まりです。
 宿:宮古”国民休暇村”
 走行距離(時間):16km(3.4h)


2日目:7/26(日) 宮古−真崎海岸−岩泉 *ここだけ by 洋二*
 今日は天気が良く、気をとりなおして出発。昨日間違って下った道をまた下り、国道(R45)を避けながら陸中海岸を北上する。けれど道はいきなり車も入れないような狭いダートになってしまった。先に行けるかどうか不安だったが、時間も早かったので、とりあえずそのまま進んだ。何ケ所か迷う分岐をクリアして、道幅が広くなると下に国道が見えてきた。
 海に向かって一気に下る。海水浴は今ツアーのイベントの一つだ。真崎海水浴場は水はきれいだがとても冷たく、陽子は早々にリタイアして砂浜で日向ぼっこを決めこむ。(二人は子供の様に無邪気に遊んでいた。ゴキさんは実は色白だということを発見し、びっくり。:陽子)
 海の家でお昼を食べ出発。R45を小本(おもと)まで北上し、ここから内陸へ向かう。もう海へ出ることはない。ゆるいアップダウンが続きバテてしまい、トップから脱落して陽子に抜かれる。5時頃、宿に到着。(宿はとても蒸し暑かった。:G)
 宿:民宿 新田
 走行距離(時間):55km(8.2h)


3日目:7/27(月) 岩泉−早坂高原−滝沢
 楽しみにしていた龍泉洞観光の日。龍泉洞には地下水によって作られた地底湖がいくつかあり、その透明度は世界一で41.5mもあるそうだ。その地底湖の色がエメラルド色でとてもきれいだった。(パンフレットの色ほどではなかったけど…。)上から見ているより、船で水脈ツアーなんていうのがあればいいのに。
 名水百選の龍泉洞の水をボトルに入れ出発。小本街道を西へと進み、今ツアー初の峠、早坂峠(標高900m)へ向かう。途中小雨が降り出したので、道路脇にあったトラクターの小屋で昼食をとる。雨は登りで熱くなった身体をほどよく冷やしてくれて気持ち良かったが、頂上では何も見えない。本当はきれいな白樺林の高原だそうだ。
 さらに強まる雨の中、体はすっかり冷えて、寒い思いをしながら峠を下る。途中の岩洞湖は岩手山の好展望地らしいが、姿形も見えない。今日の宿は盛岡のすぐ北にある滝沢の近く。このあたりまでくると雨も止み、ゆっくり流れる北上川にはうっすらともやがかかり、広い川岸一面にしきつめられた緑のじゅうたんがとても幻想的だった。(今ツアーで一番印象に残った景色。:G)
 宿:夢の湯保養センター
 走行距離(時間):94km(9.5h)


4日目:7/28(火) 滝沢−藤七温泉
 いよいよメインの八幡平へ向かう。車の多いR282をウオーミングアップでひた走る。師匠の後ろについて軽いギアでクルクル回す練習をするが、おしりと脚がつかれてしまう。回し続けるというのは結構難しい。15km程で国道から分岐し、八幡平へ向けて徐々に登り始める。途中休憩を入れ、分岐から12km位行くと、いよいよ本格的な登りになる。
 陽子絶好調で、洋二をぶっちぎり、師匠を目指す。師匠の背中は見えたけど、その差はなかなか縮まらず、休憩地点の八幡平YH前に到着。この10kmで標高差500m位。そこから300m位登り、展望所にて小休止。下界は見えるが岩手山は今日も雲の中だった。残り300mの登りはだんだん霧が濃くなり、見返峠(標高1541m)では真白の世界になってしまった。八幡平散策は即あきらめて、藤七温泉へと下る。
 やっと大好きな温泉に到着。ゆっくり湯につかって、冷えた体をあっためて、疲れをいやした。風呂から上がって一休みしていると、浴場の階段に大きなヘビが現われ大騒ぎとなる。(ヘビも寒くて温泉に入りたかったのかナー?)八幡平散策が出来なかったので宿で時間がたっぷりあり、しりとり合戦をした。これが結構盛り上がり、ラ行攻撃に苦戦し、とても疲れてしまった。
 宿:蓬來荘
 走行距離(時間):51km(5.7h)


5日目:7/29(水) 藤七温泉−後生掛温泉−乳頭温泉
 昨日下った宿までの坂を登り見返峠へ戻る。しかし、今日も霧で一面まっ白。また岩手山は見えなかった。晴れていたら湿原を散策して高山植物や、沼の中に火口がある八幡沼やガマ沼など見て回りたかったが、残念ながらそのまま出発。標高が低くなってくると霧が晴れ視界も良くなり男性陣は70km/hを越える猛スピードで一気に下る。
 途中、後生掛温泉を観光する。徒歩一周40分位で、あちらこちらで温泉が湧いて出ている。池の色が紺色の紺屋地獄や泥沼から温泉がボコッ、ボコッと湧いてくる中坊主など、別府温泉の地獄巡りを素朴にした感じである。そこからしばらく下るとR341に出て、ここから350m程登り、だらだらと下った所で昼食を取る。昼はカレーにしてしまったが、秋田名物稲庭うどんにすれば良かったと後悔する。田沢湖まであと30km程、これがアップダウンで結構長かった。(こういう所は良く晴れているんだよね。:G)
 やっと田沢湖入口まで来たが田沢湖には寄らず、小休止後、宿まで13km、700mを登る。途中8%の坂がところどころにあり、8月の乗鞍のレースを意識して登る。男性陣はもちろん先を行く。乳頭温泉郷に入り、カーブの度に二人の姿があることを期待するが、なかなか現われない。道を間違えたのか不安になるがそのまま行く。とやっと休憩している二人のところへ到着。「疲れたー!」 でも差は5分位ずつだった様だ。なかなかかな?
 そこからまた少し登り、やっと孫六温泉に到着。ここは車も入れない、ひなびた温泉で、露天風呂がいくつかあり、川のそばに打たせ湯もある。皆でゆっくり露天風呂につかる。
 宿:孫六温泉(子宝の湯として知られています:G)
 走行距離(時間):82km(7.6h)


6日目:7/30(木) 乳頭温泉−国見峠−網張温泉
 今にも降り出しそうな空。洋&陽は孫六から少し歩いたところにある黒湯へ朝風呂につかりに行く。こちらは乳白色の湯のひなびた湯治場である。朝からポカポカととても良い気分。
 温泉をすっかり満喫し、小雨の中を出発。また田沢湖口まで戻り秋田街道(R46)へ出る。3km程行った所で、国道を避けて国見峠への登りに入る。登り口には通行止めの看板があるが傍のドライブインで確認したところ、自転車は大丈夫とのこと。途中崖崩れで土石が散乱しているところがあったが自転車ではかわしながらそのまま行けた。500m程登り頂上(仙岩峠800m)に着いた。ここで昼食を取る。視界が悪く、この峠でも良い景色を見ることが出来なかった。ちょと残念な気持ちで国道まで下る。R46はまっすぐな下りでスピードが結構出たが、車が多く路面が荒れていて怖かった。(この道では自転車が壊れるかと思った。:G)11km程下った所で、今日もまた宿までの登りが始まる。
 岩手山に向かって伸びる広域農道は広い畑の中をゆっくりと登って行く。天気もだいぶ良くなり薄日が差して蒸し暑い。(しかし今日も岩手山は雲に隠れて姿を見せない。雫石スキー場を過ぎると勾配はきつくなってきて一日を締括るにふさわしい登りとなる。:洋二)私は明日東京に帰る予定なので最後の登りと思うと力が湧いてきた。
 宿は岩手山の山麓を広く見渡せるペンション街にあり、今日泊まるペンションの前にはきれいな花が沢山植えられていた。ゴキさんは不調の為か疲れた様子でしばし花の前でたたずむ。近くの網張温泉まで宿の人が車で送迎してくれ、温泉で疲れを癒す。宿では、いたる所にドライフラワーが飾られていて、どこに居ても花の香がほのかにして、とても気分がよい。
 天気予報によると、ここ数日は雨模様との事。私以外の二人はこのまま走り続けるかどうか多いに迷う。今までの雨に十分懲りていたし、その後のコースも今一つなので、結局明日皆で帰ることになった。
 宿:ペンション さかい
 走行距離(時間):66km(5.8h)


7日目:7/31(金) 網張温泉−小岩井=東京
 お天気が気になり早く起きてしまった。外の様子を見に、ぐっすり寝ている二人を起こさぬ様そっと朝の散歩に出かける。ちょっと怪しい天気だけれど雨は降っていない。澄んだ空気がひんやりとしてとても気持ちいい。このまま天気がもってくれればと祈る。が出発の頃にはやはり雨が…。晴れていれば岩手山登山を予定していた。ゴキさんもその為にスニーカーを重いのをがまんして持ってきていたのに無駄になってしまった。
 丁度雨が止んだ頃を見計らって、一番近い駅、小岩井へ向かうことにした。山を下り、あとは平坦な道を行く。途中小岩井農場があるが素通り。雨も降ったり止んだりしていた。20km程で小岩井駅に到着、と同時にザーザ降りの雨となる。
 今回のツアーを象徴したような天気に、ちょっと憂鬱になるが、みんなと一緒に帰れることになったし、温泉は十分満喫できたし…。そして今思うとコースはきつかったけれど、わりと快調に走れたように思う。なんていつも喉元過ぎると楽だった様な気がしてしまうのだけれど…。
 という訳でとうとう最後まで岩手山は雲に隠れて見えなかったが、今回も怪我もなく無事にツアーの幕を閉じることができた。
 走行距離(時間):20km(0.9h)


(解説)この時期の東北の天気は、梅雨が開けたと言っても非常に不安定で、少々ギャンブルではあったかもしれません。本来なら2、3週間後位がベストだと思います。しかし、コースとしては、自宅に打たせ湯を作ってしまうほどの温泉マニアの那珂夫妻が満足できて、一か月後にひかえた乗鞍マウンテンTTの脚慣らしにも丁度良いものだったと思います。またいつの日か天気の良いときにゆっくりと…。:G