北岳登山 & 南アルプス林道(街道)RUN

by 馬渕(投稿日:19 Sep 1993)


日程:1993年9月15日(水)〜18日(土)
参加:馬渕、吉岡
コース概要:=竜王−広河原−北岳登山−早川温泉−下部温泉=

<はじめに>
 今回の企画は夏休みを取ってどこかにいこうということから始まった。最近登山に興味が移りがちな私(馬渕)と、相変わらず自転車に乗りたくて仕方が無い吉岡の意見が対立し、両者の言い分を取ってCYCLINGと登山を両方する事になった。
 去年のG.Wに日程的に越えられなかった夜叉神峠を甲府から越えて広河原まで走り、広が原から中央アルプスの最高峰である北岳(日本で第2位。3192m)に登る計画である。後は南下して温泉にでも入りながら走れる所まで走るつもりだった。
 次は装備をどうするかが問題になったが、登山をするなら念のためにテントやシュラフやマットや防寒具が必須なので自ずと荷物は多くなる。緑色の峠攻め用の自転車で行くつもりの吉岡は荷物が積めないので少しごねたが、最近買った新車のマウンテンバイクで行く事にした。私は相変わらずのALPSに両サイドを付けて、現役時代のような重さになった。


1日目: 竜王駅ー夜叉神峠ー広河原(南アルプス林道)  42km
 新宿8時30分発のかいじ号で竜王(甲府の次)まで輪行。吉岡は連日のハードワークで2時間位しか寝てないらしく漠睡状態。2人とも久々のパッキングに手間取り1時間以上もかかってしまう。 サイドを付けたのは去年のG.W以来で(入院前)かなりハンドルが取られて蛇行するが、何故かサイドがあると旅行にきた気分でわくわくする。コンビニで食料を買い出し12時に走り出す。少し走った信玄堤(富士川のほとり)で昼食。「ここを誘拐殺人された銀行の受け付け嬢が流れて行ったんだよ」と物騒な話しを聞きながら私の手製のお握りとお弁当をさくっと食べてようやく本当の出発。(12時50分)
 芦安村までは川沿いにゆるい登り。そこからは取り敢えず夜叉神峠に向かってぐんぐんと登る。荷物を積んでる割にはやけに調子がいい。途中甲府の町が見渡せる。あまり急激な登りもなく夜叉神峠へ4時25分着。(竜王から27km,1000以上UP)峠の休憩所(夜叉神の森)には奇麗な山の写真がたくさん飾ってあって、次回は地蔵岳に登るか!ということになる。休憩所でゆっくりとhotコーヒーを飲み大休止。
 あとは長い夜叉神トンネルを抜けてさらにだらだらと登る。途中の断崖絶壁を見ながら真っ暗な水浸しのトンネルをたくさん越えていく。急坂ではないけれど、広河原までの15kmは長く感じられた。南アルプス林道は登山バスが走れるように強引に作られた道で、山肌に掘られた道はオーバーハング気味で土砂崩れ多発地帯、環境破壊とはまさにこの事だと実感させられる道だった。一般車が通行止めになる広河原(この先は登山バスしか通れない)には6時20分日暮れ寸前に到着。夜叉神からは約200のUP。さすがに疲れた。
 本日の宿は国民宿舎の広河原ロッジ。1泊5250円とは安いが、部屋は6畳で何も無い。しかし食事はまあまあでお風呂は奇麗だった。近くにはキャンプ場(河原)があるがすごく寒そう。明日は早出で山に登るつもりなので朝食、昼食用のおにぎりを先にもらう。1食分が2個だなんて足りるのかなあとちと不安になる。


2日目: 北岳登山(南アルプス最高峰3192m,1660mUP,10時間半)
 ザックにシュラフやマット、ガス、カッパを詰めて6時出発。完璧な快晴である。途中で山小屋に泊まるか下山できるか解らないので荷物は多く持つことにした。喉が痛く風邪気味なのが気掛かりだけど気分良く出発。
 前方に目指す北岳を見て、後方には鳳凰三山(地蔵岳、観音岳、薬師岳)がくっきり見える。沢沿いの落石地帯を登っていく。ロッククライマーが取り付いている大絶壁(北岳バットレス)を横目に、高山植物のお花畑の中を歩く。山頂近くなると森林限界を越えて岩岩になり、空気も少し薄いような気がする。少し動いても息が荒くなる。お団子やお菓子を食べながら12時すぎに北岳頂上に付く。
 昼になると雲が多くなるので鳳凰三山や富士山は雲の中に入ってしまったけど千丈ケ岳(3年前にこいやんや馬場さんたちと登った)や間ノ岳は良く見える。甲斐駒ケ岳はもう少しで顔を出しそうだ。見晴らしは完璧に近く今まで走った事のある中央構造線の辺りやいろんなとこ(私は解らなかったけど吉岡さんは「あそこがxxであそこが、、、。」と感動していた)が良く見えたようだ。信州は何かとよく来ているみたい。お昼はロッジのおにぎりが死ぬほど不味かったのでお茶漬けにして平らげる。
 下りは違う道を降りるが甲斐駒がやっと顔を出してくれてもう何も言うことは無い。草滑りと言われる急斜面を下り、お花畑を越えて白根三池小屋へ。ここまで来るのに私の風邪は悪化し、頭ずきずきして気分悪かったけどお風呂入りたさに山小屋はパスして一気に広河原ロッジまで降りてしまう。5時35分着。ロッジのおやじさんは呆れた顔をしながらも夕食の準備をしてくれた。(前日に日帰りピストンは無理だから止めたほうがいいとアドバイスされていたので)
 完璧な一日だったけどその後がひどかった。私は熱を出し夜中まで眠れず吉岡さんは濡れタオルを変える為に何度も起きてくれた。長い夜だった。


3日目: 南アルプス街道南下ー早川温泉  24km
 朝起きて昨晩より頭痛は治まった気がするのでなんとか走ることにする。2人とも両足筋肉痛ばりばりである。登山の下りは足にくる。
 南アルプス街道(県道)入り口に通行禁止の看板が立ってたので工事現場の人に聞くと吉岡さんのタイヤを指差し「これなら大丈夫だけどこっちは、、、。」と私のタイヤを指差す。ということは自転車なら大丈夫そうなので下ることにする。始めから激しいダートで、電灯が全く無い真っ暗なトンネルがいくつもある。中は轍でえぐれていて滝のような水が降ってくるし水たまりがトンネル中にあるし、どこを走っているかわからず恐かった。
 奈良田村の手前でようやく舗装路になった。奈良田湖は土砂がたまっていて湖ではなくなっていた。道路よりも河原の方が標高が高そうである。資料館に入ろうとしてパンクしていたことに気付く。
 早川町歴史民俗資料館で焼き畑農業のVTR(30分間)を見てから昼食。白旗史明の山岳写真館(日本初らしい)は登山客に人気があるらしく、日焼けして足を引きずりながら(筋肉痛で)見ている人もいる。大きなパネルに南アルプスの山々が奇麗でなかなか良かった。
 体調は相変わらず良くなく近くで温泉宿を探すことにする。奈良田より下に温泉郡はいくつかあったが、シーズン外れで民宿はほとんどやっていないので、西山温泉郷で(ちょっと高いけど)名のある温泉旅館に泊まることにする。ランクは下の部屋でも食事(山菜ずくし!おいしい)を部屋まで運んでくれたり布団しいてくれたり待遇は良かった。


4日目: 南アルプス街道南下ー下部温泉駅  37km
 朝起きたら体調は最悪。風邪はさらにひどく筋肉痛もさらにひどい。天気も悪く雨が降っている。
 取り敢えずチェックアウトしてパッキングをしようとしたらまたタイヤの空気が抜けている。2度もタイヤ交換して時間がかかってしまう。
 11時前にカッパを来て出発。南アルプス街道の続きを早川沿いに下る。早川渓谷といわれるだけあってけっこう奇麗である。途中からダンプがかなり多くなり幅寄せ、追い越しが強引で恐い。1時に身延線の下部温泉駅に着いて食事をしながら今後の行き先を考えるが、これ以上走りたくない体調で、吉岡さんも風邪引きかけで、輪行して帰る事に賛成してくれた。


<感想>
 本来なら1日で走れる距離を2日もかかってしまい、田貫湖かもとす湖でキャンプする予定ができなくて、体調の大切さを思い知ったRUNだった。本当はもう1日走るよていだったのに。また、北岳の山小屋は完備されていてシュラフも要らなかったとか、余分な荷物を持ちすぎた気もする。
 今年は無理かもしれないけど次回の登山&RUNは「青木鉱泉から鳳凰三山縦走(キャンプ)」を企画しています。ダートあり峠あり車で来てもOKのはずです。興味のある人は奮って参加して下さい。でわ


関連リンク:
 '92 春の信州ツアー