ショートレポート: 春ラン 笹子峠

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笹子隧道の前で
by 浦野(投稿日:29 Jun 2023)

Map, Click to Expand 日程:2023/6/25(日)
参加:G(計画)、DAZ、浦野
コース:=笹子→笹子峠→勝沼→塩山= (41km - 7.1h)

 ツーリング記録 参照
メモ:
 笹子峠は2年前のGさん企画で走る予定だったのだが、直前に息子が発熱しコロナの疑いがあったためドタキャンしてしまった峠だ(結局息子はコロナではなかった)。今回はそのリベンジも兼ねて楽しみにしていた。ダズも初めての峠とのことだったがGokiさん曰く、過去にダズを含め3人で走ってるよとのこと。例によって全く記憶にない。今回は最初に笹子峠を越えて後半は甲州の寺院巡りという趣向だ。


1日目:6/25(日)
コース:=笹子→笹子峠→景徳院→ワインカーブ→大善寺→勝沼(昼食)→恵林寺→塩山=
参加:G(計画)、DAZ、浦野
天気:晴れ
距離:40.92km
獲得標高:807m
走行時間:7h5min


*集合、JR笹子トンネル
 出発はJR笹子駅9:30の予定。浦野はゴールの塩山駅近くの甲州市役所駐車場に車を停めて笹子駅まで輪行、8時過ぎに笹子駅に到着した。9時前にGokiさんとダズが同じ電車で到着し、9:25に出発。
 走り出してすぐJR笹子トンネル入り口で小休止。ダズのGoogleマップ予習によると、今では下り線専用になっているJR笹子トンネルは明治時代に完成したもので、扁額(トンネル・建物・門・鳥居などに掲げられる看板)は伊藤博文の書によるものだそうだ。

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無人の笹子駅を出発 | 現役の新旧JR笹子トンネル(左が古い)
*快適な笹子峠、矢立の杉、隧道、旧街道
 再び国道20号を上るとほどなく笹子峠への分岐に到着。旧道に入ると車もほとんど通らず杉林が暑い日差しを遮ってくれるうえに勾配も4~6%とちょうどいい塩梅で、三人そろって気持ちよく上っていく。30分弱で矢立の杉に到着。
 この杉は、高さ26m、根回り14mの巨木で樹齢1000年以上とのこと。確かに巨木ではあるが根本には空洞が目立ち痛々しくもあった。名前の由来は武士が戦陣に出る時に一番矢を射たてて戦勝を祈願したことなのだが、歌手の杉良太郎が作詞作曲して歌ったこともあり、その是非はともかく杉良太郎の説明版が目立っていた。
 峠までさらに上る時、Gokiさんが朝の「輪行袋を不審物として回収されてしまった事件(?)」の話をしてくれた。通報者は良かれと思ってしたことなのだろうが、持ち主が見当たらない荷物は即不審物になるようで、これも世相か(詳細はご本人の一口メモにて)。

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旧街道(笹子川沿い)への入口 | 奥の超太いのが矢立の杉

 10:40笹子隧道(トンネル)に到着。大月側のトンネル口には2本の柱状装飾が施されておりモダンな印象を醸し出していた。トンネル自体が登録有形文化財とのことだが、トンネル通過後に甲州側のトンネル口を見てみると何の装飾もなく、大月側と比べて地味なのが少し可哀そうであった。

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由来を読む | 笹子隧道の前で

 峠からの下りは快適だったが日陰になっている路面は交通量が少ないため苔生している場所が多く、滑らないように気を使わされた。国道20号に合流する手前で、駒飼宿跡から旧甲州街道に入り再び国道20号へ。

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駒飼宿から旧街道に入る | 分岐から激坂を降りていく
*寺巡り開始、景徳院
 甲斐大和駅近くのコンビニで買い出しした後、大月側に向かって国道20号を上り返す形で景徳院へ向かう。この頃からGokiさんの様子がいつもと違うことに気づいた。聞けば前日もソロで1000m超上り、そのうえ寝不足で体調がイマイチとのこと。道理でいつものパワーが出ないわけだ。
 景徳院は今回のラン直前に原さんからのお薦めということでコースに追加されたお寺だ。武田信玄の後継者勝頼が自害して武田家終焉の地となった場所に、後年徳川家康の命で建立されたのがその起源とのこと。夫人共々自害した場所に生害石(しょうがいいし)という石もあり、戦国時代の厳しさ・もの悲しさを物語っていた。

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景徳院 | 勝頼ら弔いの碑
*ワインカーブ、大善寺
 そろそろお昼時になったので一旦国道に戻って県道217号で勝沼トンネルワインカーブそばのカフェやまいちに向かう。着いてみると小さな看板はあるが見るからに普通の民家という佇まいだ。声をかけると今日は営業していないとのこと。(G記:リスクポイントにやっぱりひっかかってしまった。自分もコンビニでパンくらいは買っておくんだった
 仕方ないのでまずはトンネルワインカーブを見学。トンネル内は温湿度が一定なのでワインや日本酒の貯蔵庫として利用される例は少なくない。ここは1997年まで使われていたJRトンネルをワイン貯蔵庫として再利用した施設であり、勝沼はワイン生産地としても有名なのでワイン貯蔵庫としてはぴったりというわけだ。トンネル入口から数十mが見学できるようになっており中は涼しい。ワインカーブ見学後、近隣の食堂を調べるのはGokiさんとダズに任せて自分は持参したパンで空いた小腹を満たした。近くに手ごろな食堂はなさそうだということになり、この時点でイトザクラが有名な慈雲寺は諦め塩山方面で食堂を探すことになった。ただ、すぐ近くには国宝の大善寺があるためお腹は空いていたがまずは国道20号に戻って大善寺へ向かった(ダズが予習していた国道分岐の幕末古戦場は結局パス)。

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トンネルワインカーブ

 別名ぶどう寺とも呼ばれる大善寺の薬師堂は国宝に指定されており、武田勝頼が景徳院に落ち延びる前に一泊したことや、幕末の戊辰戦争では近藤勇と新政府軍との戦い(柏尾坂の戦い。先ほどパスした場所)の舞台になったことなどが紹介されていた。薬師堂では案内係のおばさんの説明と共に内部を見学。また、きれいに整備された中庭を眺めながら甲州ワインを飲んで休憩している人もちらほら。

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大善寺の山門と薬師堂
*昼食をもとめて勝沼を放浪(ほうとう)
 そうこうしている間に13時半過ぎになってしまった。(G記:暑さの中でフルーツラインへの上りを見たらげんなり。勝沼をさらに下ってから北上することにした。)塩山方面に走り出すと間もなく、道路沿いのぶどう果樹園に「頑固おやじの手打ほうとう」という看板を見つけた。見るとメニューはほうとうのみ。暑い日にほうとうはいかがなものかと思わないでもなかったが、食事にありつけるチャンスを見逃す手はなく、3人前を注文。エアコンが効いている店内かぶどう棚下を選べたので、風が涼しいぶどう棚下で食べることにした。冷たい麦茶をいただきながら待つことしばし。お鍋で運ばれてきた野菜ほうとうはボリューム満点。汗をかきながらいただきお腹いっぱいになった。

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ぶどう棚下でしばし待つ | ほうとうは意外に心地良く食べられた

 何気なくぶどう棚を眺めていると、ぶどう笠で養生されている房があったり、実が長細い品種があったり、色々だという事に気づいた。帰りがけに頑固おやじ(と言うより優しいお兄さんという印象)に質問してみると、ツボにはまってしまったのか「長細いのはバナナという品種で・・・、養生にも笠と袋があって・・・、今は70種類を栽培していて・・・、市場に出るのはほんの数種類で・・・」などなどいろいろ説明してくれた。出発の際「いろいろ説明してくれたのでレポートが楽しみだね(Gokiさん)」、「え~。宮村さんみたいに詳しい調査はできませんよ~。途中からあまり真剣に聞いてなかったし。(浦野)」などと笑いあった(ちなみにこの店はGoogleマップにも載っていた)。14:55頃に出発。

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長細いぶどう | 養生にもいろいろ
*最後は恵林寺
 県道34号(塩山バイパス。交通量やや多し)で北上し中央本線を越えて恵林寺に向かう。途中、見学予定だった向獄寺前を通ったが15時を過ぎていたこともあり、まずは恵林寺でしょうという事でスルー。お腹いっぱいになってもこの日のGokiさんはやはり体調不良の様子で「先に行っていいよ」と、らしからぬお言葉。武田信玄の菩提寺として有名な恵林寺には15:20頃到着した。
 さすが、戦国の雄武田信玄の菩提寺だけあり、立派な造りだ。恵林寺はいわゆる「心頭滅却すれば火もまた涼し」でも有名な寺だ。武田家滅亡に際し、恵林寺に逃れた武田勢の引き渡しを拒否したため織田信長勢によって焼き討ちされ、僧侶など100人以上が犠牲になった。三門には快川紹喜が遺偈(ゆいげ。高僧が死に臨んで弟子や後世への教訓として残す言葉)として唱えたとされる「心頭~」が「安禅不必須山水 滅却心頭火自涼」という漢文の扁額として掲げられていた(覚えたての言葉を使いたがる(笑))。ちなみに読みは「あんぜんかならずしもさんすいをもちいず。しんとうめっきゃくすればひもおのずからすずし」が正解。信玄等身大の武田不動尊や庭園をのんびり見学していたら16時を過ぎてしまった。門前の茶店で休憩しようとしたが16時で閉店したとのこと。仕方ないので自販機ドリンクで小休止。

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恵林寺の三門(黒門、赤門は手前にある) | 恵林寺の庭を望む(石庭は別にある)

 少し先にある放光(密)寺、さっきスルーした向獄寺はいずれもパスして塩山駅に戻ることにした。塩山駅北口に着いたのは16:30。駅前の甘草屋敷は江戸時代に甘味料や薬として重宝されていた甘草を幕府に納めていた旧高野家の屋敷を保存しているもので重要文化財だ。最後に見学しようとしたら16:30で閉館したところ。一歩違いで見学できず、後ろ髪を引かれる思いでの解散となった。
 今回は笹子峠を超えられたこと、武田家ゆかりの景徳院と恵林寺に行けたことで大満足なランになった。同時に、武田勝頼が頼ったものの小山田信茂に裏切られた岩殿城など、今後行ってみたいスポットを発見できたのも良かった。

【DAZコメント】今回、コースの見所を事前に予習したつもりだったけど、かなり付け焼き刃だったみたい。「大善寺はワイン作ってる寺」と思っていたのが一例で、実際は薬師堂と中の文化財が見応えあったし、歴史上の事件もあったり、行って見たら新鮮に楽しめたので、まあ軽い予習でかえって良かったのかな。山梨の夏を実感する暑い一日だったが、それでも恵林寺の中は心地よい空気が流れていて、こんなところに住めたら良いだろうなぁ~などと思いながら見学した。ブドウ園でのほうとうが美味しかったのも良かった。

【Gコメント】最初の笹子峠は狙い通り、ずっと杉林の中でとても快適に走れた。峠を降りてからはややのんびりと寺巡りの予定。しかし、もう夏と言える暑さにまいってしまい、さらには予定の昼食場所がダメだったこともあり、ちょっとグダグダの展開(結果オーライだが)。これからの時期は昼前に終わるランを企画しないとなあと反省した。個人的には、行き帰りの電車絡みでいろいろと事件があり、別の疲れがあった。本文で引用されている不審物事件を以下で簡単に説明しておく。
「不審物事件」:早朝からの長い電車移動の途中でトイレを我慢できなくなり、町田駅直後の古淵駅で電車を降り、ホームに輪行袋を置いて二階に駆け上がった。事なきを得て戻るとホームに輪行袋が無い。盗まれた?と周りを探したが無くて一貫の終わりかと思った。ダメ元で二階改札で駅員に尋ねると、不審物で預かっていると言われた。駅員も自転車とは分かっていたようだが、客から不審物と言われたら回収せざるを得ないのだろう。なんとか輪行袋は戻ってきたが、乗り継ぎをリカバリする何本かの電車は既に行ってしまい、40分遅れになる満席の特急に乗り継ぐしかない。ダメもとで区間毎に検索すると、八王子駅で線路を跨ぐ1分乗り換えができれば当初の電車に乗れると分かった。結果的にはこれに成功して一見何事も無かったように集合地の笹子駅に到着したのだった。


関連リンク:
 2021年 春ラン3000mチャレンジ
 1998年 黒野田林道