2020乗鞍高原ツアー

Photo, CLick to Popup
野麦峠の登り途中
by DAZ(投稿日:11 Oct 2020)

Map, Click to Popup 日程:2020/9/20(日)~ 9/22(火)
参加:G(計画)、浦野(計画)、DAZ
コース:=新島々→乗鞍高原温泉→高山→木曽福島=

 ツーリング記録 参照
<はじめに>
 2020年は新型コロナ感染症の流行により、長年の恒例行事となっているGWツアーが緊急事態宣言の最中で中止となっていた。その後も、初夏~夏休みに浦野さんが企画してくれた乗鞍一泊ランや北津軽ツアーも、首都圏を中心とした感染第2波で断念。そんなわけで、なかなか皆で走る機会がないまま夏休みシーズンも終わろうとしていた8月下旬に、「9月連休で走りに行こう」という計画が持ち上がった。Gotoキャンペーンで少しずつ人の移動も始まっていたし、東京都の感染者数も頭打ちとなってきたこともあって、いよいよ今年初めてのラン企画が実現することとなった。
 計画は、一日目:新島々→乗鞍高原
     二日目:乗鞍エコーラインで畳平へ登り→乗鞍スカイラインで高山へ
     三日目:野麦峠→松本方面へ戻る、というものだった。
道路としての日本最高地点である乗鞍畳平を含み、ハードで走りごたえのあるコースだが、久しぶりのランということで楽しく計画と準備を進めていた。4連休中の2泊3日なので、天候次第で集合日を9月19日か20日どちらも選べるように、宿やJR切符も二通り予約したし、10日前から天気予報をにらみつつ、関東地方などはずっと天気の悪い日々だったにも関わらず、長野県・岐阜県については20日出発ならまずまずいけそう、ということで一週間前には実施日程も確定。
 ところが・・・
 集合前日の9月19日15時過ぎになって、乗鞍岳公式ホームページ上の「乗鞍スカイラインは現在通行止めです!」という情報に気が付いた。詳しくみると、令和2年7月の豪雨災害で崩落のため、ということで、ネット上で見つけた写真では、道幅全部が崩落してしまっていてこれは本当に通行不能と思われる。乗鞍畳平までは登れるが、そこから先、高山へ下るルートが無い、ということになってしまった。
 すでに浦野さんは集合に向けて車で出発していた段階であったが、急遽コース変更を余儀なくされることとなり、当初案のハイライトであり、かつ欠かせないキーポイントであるはずの乗鞍越えを外し、でも宿の予約はそのままでいけるように、とGokiさんが大急ぎでコースを練り直した結果、
 変更案 一日目:新島々→乗鞍高原 (この日は変更無し)
      二日目:白樺峠・野麦峠→高山 (当初案とは逆向きに野麦峠を越える)
      三日目:高山→長峰峠→木曽福島 (ルート、解散地とも変更)
ということに大枠を決定。
 この変更で、浦野さんは車のデポ地を見直さなければならないことになるが、出先でなんとか考える、ということとなり、Gokiさんも夕方からそろそろ出発準備を、と思っていたのにコース再検討に忙殺されるはめになって、出発準備はすっかり夜遅くになってしまった、とのこと。こんなわけで波乱の集合前日を過ごし、どうにか当日の朝を迎えた。


Map, Click to Popup 1日目:9/20(日) =新島々→乗鞍高原温泉 (32km/896m) 晴れ
 朝6時半に自宅を出て、新宿発8時のあずさ5号で松本へ。車中では甲府あたりで雨が降っていたが、長野県に入ってからだんだん天気が良くなってきた。松本からは、アルピコ交通㈱上高地線に乗り換える。2両編成のローカル電車で、途中駅では地元客の乗り降りもそれなりにあるのだが、やはり上高地・乗鞍高原方面に向かう登山客・観光客が多く、コロナの影響が無かった昨年までなら相当な混雑だっただろうなと思った。今回は、席がほぼ全て埋まる程度で、立っている人はいないようだ。Gokiさんの姿も見えたが、混んでいるので手を振って合図しただけで離れたところに席を確保する。30分ほどの乗車で終点の新島々駅に11:15到着。ここで殆どの乗客はバスに乗り換えて、上高地や乗鞍高原へ向かっていくが、僕らはここで外に出る。外は素晴らしい快晴となっていた。
 Gokiさん、浦野さんと、久しぶりの再会。今日ここまでの経過や、昨日の夕方になってからの計画変更のことや、その他近況などあれこれ話しつつ、晴天のもと自転車を組み立てる。浦野さんは薮原の道の駅に車をデポして、今朝からここまで既に45㎞を走ってきたとのこと!


 さて今日のコースについてだが、いくつかのオプション案がある。本日宿の乗鞍高原温泉までは、直行すると距離は28㎞と短いものの、獲得標高は890mくらいある。昨日のコース変更で、乗鞍畳平への行程はメインコースからは無くなったのだが、天候が良く、かつ体力と時間に余裕があるなら、宿に荷物を置いて本日畳平までピストンするという案もあった。しかしそうすると総獲得標高が2300mとなり、午後からのスタートでそれはちょっと無理では?というのがダズと浦野さんの意見。また、畳平ピストンはせずに、白骨温泉回り(県道300号線~乗鞍スーパー林道B区間)という案もあったが、このルートも通行止めとの情報があり不採用となる。結局、まずは宿まで直行し、畳平ピストンするかどうかはそこで判断してもいいじゃないか、という感じになる。

Photo, CLick to Popup
新島々駅を出発

 駅近くのセブンイレブンで昼食を購入、サクッとお腹に入れて、12時過ぎに新島々駅を出発。国道158号線を南西へ、序盤から登り基調でじわじわと標高が上がっていくのでスタート30分足らずで最初の休憩をとる。9月下旬にしては強い日差しでけっこう暑くなり、レッグウォーマーを外し短パン一枚になる。梓川沿いの道で川がきれいに眺められるが、国道なので交通量が多く、気が抜けない感じである。上流へ向かって稲核ダム、水殿ダムと遡っていき、続いて現れる奈川渡ダム手前のトンネル入り口付近で13時過ぎ、2度目の小休止となる。このトンネルは、トンネル内部に国道158号と県道26号の分岐があるという珍しい場所だ。地図で道を良く確認し、僕らは国道158号の方面へ進む。トンネルを抜けると巨大な奈川渡ダムの上に出るが、さっき休んだばかりなので、特に足を止めて眺めることなくさらに国道158号を進む。

Photo, CLick to Popup
入山トンネル手前

 ここから更に5kmほど進むと、安房峠・上高地方面へ向かう国道158号と別れて乗鞍高原に向かう県道84号との分岐に至る。ここからはようやく交通量の多さからも解放されそうで、やれやれという感じで小休止。ここで13時半、標高は1000mに到達。

Photo, CLick to Popup
乗鞍高原への分岐で小休止

 ここまで休憩短めで走ってきて、既にけっこう消耗してきた感じだが、県道に入ってからは少しリラックスして、おしゃべりしながら走る。途中、大野川の集落に入ると尖塔のあるきれいな建物が見えてきて、教会か何かと思ったら小中学校だった。この山奥の集落にも子供たちが生活しているのだろうか?と思ったが、きっと校舎や体育館を広々と使えるだろうな、という気もするので良い環境だなあとも思う。14時過ぎ、ここでまた小休止。グーグルマップによれば、この先には番所大滝(ばんどころおおたき)が見所ポイント、そしてその先にはカフェが一軒あるとのこと。ここまで2時間、久々のランにしては頑張って登ってきて、本日の畳平ピストンはもう無いよね?という暗黙の雰囲気になっていたので、コーヒーをゆっくり飲むのも魅力的に思える。小中学校前を出発してほんの10分ほどで、番所大滝の入口駐車場に至る。ここから徒歩5分程度で滝に行けるとのことで、自転車を止めて遊歩道に入るが、けっこうな勾配でずっと下っていく。はてさて、と思ったが、展望所に至ると、これは予想を上回る迫力ある滝を見ることが出来て、いやー見に来て良かったねぇ、ということになる。このあたりの岩盤は柱状節理ならぬ「板状節理」という構造が見られると看板に書いてあったので、遊歩道を戻る間に手近な岩を見て「これも板状節理だね?」と、覚えた用語をさっそく使ってみる。あと印象的だったのはこの駐車場に設置されているトイレがとてもきれいで、メジャーな観光地の一角であることを感じる。

Photo, CLick to Popup
番所大滝、東屋から

 さてここを出発すると、ほどなくしゃれたカフェも現れたが、さすがにさっき休んだばかりなのでコーヒー休憩は断念し、またぐいぐい登っていく。乗鞍高原温泉に近づいていくにつれて、乗鞍岳の姿も良く見えてくる。山頂まで雲一つなくくっきりと見えていて、今日頂上まで行っている人は最高だろうな、と思う。晴れた山を眺めながら走っていくのもまた最高の気分だ。だんだんと宿泊施設なども現れてきて、かつて参加した乗鞍ヒルクライムTTのときに泊まった宿?とか見覚えのある建物なども眺めつつ、乗鞍高原観光センター前に15時半ころ到着。ここから上はマイカーでは走れずバスかタクシー、または自転車のみとなるので、多くの人がここまでマイカーで来て駐車する大駐車場にもなっている。


 ここで僕らと同年代のランドナーサイクリストを見かけたので軽く挨拶したところ、いったんはただ会釈して通り過ぎたのだが、浦野さんのランドナーを見とめて(仲間だと思って?)近寄ってきた。しばらくこの人とサイクリング談義、この人はここまでハイエースで来て、自転車を3台積んできてあちこち走り回っているとのこと。今回は遅めの夏休みで、畳平までもう2回登ったが、明日もまた登る予定らしい。この辺の道路事情についてもいろいろ情報提供してくれ、今年7月の豪雨災害で通行止めになっている安房峠旧道はもう補修工事をしないらしい、ということだそうだ。

Photo, CLick to Popup
ランドナーサイクリストと立ち話

 立ち止まっていろいろ話していると少し寒くなってきたので、10分程度でそろそろ切り上げて、僕らはここからすぐの本日の宿、36S0(さんろくそう)を目指して出発。温泉楽しみだー、と話しながら、宿地帯の中を走っていく。休業あるいは廃業してしまったような宿も幾つか見られるなか、5分ほど走って36SOに到着。明かりが小さく灯っているが、なんか、営業してるのかな?と思うような雰囲気を若干感じつつ、宿担当の浦野さんがまず入っていく。玄関先で話している浦野さんと宿のおじさんとの会話のトーンがなんか妙な感じで、これはもしや、と予感がしつつ、出てきた浦野さんの話では、なんと今回我々の予約は受け付けられていないとのこと!予約サイトの楽天トラベルで申し込んであるのだが、宿の人の話によれば、満室になった時点で楽天側に連絡しているのだけど、それがサイトに反映されるのが遅くて、サイトでは予約を受け付け続けてしまっている、ということだそうな。何か腑に落ちない話ではあるが、とにかく宿側では僕らを泊める準備はしていないわけで、別な宿を紹介してくれることになったらしく、ここから少し下ったところにある青葉荘というところに行くように話がつけられた。僕らには選択の余地もなく、ここから10分もかからないよ、と言われて36SOを後にする。青葉荘とはいったいどんな宿なのかもわからないが、ネットで検索すると自前のホームページもあり、けっこう良さそうな感じもする。ただ、ここまで登ってきた道をずいぶん下るようだ。道沿いに宿の番地を示す標識が立っているので、これを見ながら教えられた番地を目指し、来た道を戻るが、こんなに登ってきていたのか、と実感するくらいどんどん下る。夕方になっているので下りは寒い!震えるくらい冷えたころ、とうとう番所大滝の近くまで戻り、やっと青葉荘が現れた。Gokiさんのガーミンによると、36SOからここまで3.77km、標高は193mも下っていた。

Photo, CLick to Popup  Photo, CLick to Popup
36SO到着 | 青葉荘到着

 宿泊:青葉荘

 青葉荘では、ほんの10分ほど前に依頼されたばかりなのに、しっかり受け入れ態勢が整っていた。感染対策はしっかりしていて、マスク着用と手指の消毒はもちろん、額の検温もある。ここで熱があったら大変だ、と思ったが、下りで冷えたのでそれは大丈夫なはずで、全員クリア。広々した大きな部屋(二部屋の仕切りを外して一つにしてある)に通してもらい、部屋の窓のすぐ外、屋根の下に自転車も止めさせてもらえた。
 さて、一時はどうなることかと思ったがやっと落ち着いたので、一息ついたらまずは温泉である。ちょうど良い湯加減の内湯と少し温めの外湯があり、どちらも3~4人入れるくらいの大きさ。きれいな木造の良い雰囲気で、硫黄の匂いのする白濁した素敵なお湯が半日走って疲れた身体にとても気持ち良い。先客も少なく、ゆったりと楽しめた。
 晩御飯は19時にしてもらったので少し間があり、入浴の後は部屋でお茶を飲んで、まずは明日の予定を確認する。白樺峠~奈川温泉~県道26号に出て野麦峠へ向かう予定だが、お昼ご飯の調達が懸案か。ツーリングマップルには、野麦峠の登り途中に「峠路」(そばがおいしい)との記載があるけど、グーグルマップを見ると何も表示されない。途中に店らしきものは全く無くて、唯一ありそうなのが野麦峠頂上の「お助け小屋」(という名の蕎麦屋?)。とりあえず非常食くらいは持っているけど、どうしようかね、と話しつつ、やがて皆うたた寝してしまう。部屋はひんやりしてきたので毛布をかぶって休む。
 晩御飯は大食堂で19時から。涼しいのでビールではなく熱燗で乾杯だ。鴨鍋、馬刺し、てんぷら、etc、和食でバラエティも豊富である。どれもおいしく大満足。ご飯はおひつを空にしておかわりした。想像でしかないが、なんか青葉荘に変更になって、かえって良かったかも??という気がしている。

Photo, CLick to Popup
マスクを取って、晩御飯

 部屋に戻って20時、押し入れに布団がふんだんにあるのでマットレスを各自2枚敷いて、その上に敷き布団、毛布に掛け布団。寝てみるとすごく深く沈み込む感じで快適である。あっという間に皆寝入ってしまった。


【浦野コメント】前日は1人で甲府観光(城跡巡り+美術館)し、道の駅木曽川源流の里きそむら(中央本線薮原駅前)で車中泊。20日7時20分頃、曇天の中集合場所に向けて走り出した。川沿いに国道19号線を下り、中山道と善光寺街道の分岐である洗馬宿(セバジュク)から北西方面へ。10時過ぎに、上高地・乗鞍方面の観光拠点となる新島々駅に到着(約45km)。2人と合流した午後の部は全然足が回らず、乗鞍高原まで上るのがやっとであった。
【Gコメント】出発直前になって乗鞍スカイライン通行止めとのDAZからのメールが入り焦った。エコーラインしか見てなくて完全なチェック不足。158号も安房峠へ行く手前で通行止め。どちらも今年7月の豪雨被害。結局徹夜明けとなった長い電車の旅を経て、新島々手前でパーと晴れてきたのはうれしかった。158号から乗鞍高原へ分岐するまでは車もトンネルも多く閉口したが、後でyoutubeなどで158号の歴史を知ると、よくぞ作ってくれましたと言いたくなった。唯一の観光ポイントになった番所大滝は結構なヒットだった。カフェ休憩に十分とってかわれる。トラブルで宿変更となったが、とてもいい温泉があり、食事も部屋も最高だった。今回のランはいろいろ事件がありそうな予感。


Map, Click to Popup 2日目:9/21(月) 乗鞍高原温泉→白樺峠→野麦峠→寺坂峠→飛騨たかね工房→宮峠→高山 (96km/1446m) 晴れ
 朝食は7時だが、浦野さんとダズは朝風呂に入るため早起きする。今日も良い天気のようだ。朝食はふつうの和食で、自家製の漬物があったのと、コーヒーがサーバーに入って自由に飲めたのがうれしい。
 会計は一泊二食9000円とお酒代くらいで、楽天トラベルの36SO予約と同じ設定にしてくれたようだ。出発写真を撮って、8:13分出発。


 本日も快晴で、まずは昨日下ってしまった分(約190mアップ)を登り返す。朝の爽やかな空気の中で、乗鞍岳の姿がくっきりと見えているので、今日も新鮮な良い気分で登れる。山に向かって走っていく写真を撮ったりしながら、まずは乗鞍高原観光センターまで到着。8時半だけどここの売店は開いていたので覗いてみたら、都合よくおにぎりセットが2種類販売されていたので本日のお昼用に購入、これで一安心だ。ここは今日も朝から車・人がたくさんいて、一大観光地の賑わいだ。レンタルサイクルもあるみたい。
 ここから先、白樺峠方面への道に入っていくと、一転して静かな環境となる。入口付近にはまだ宿泊施設などが点在していて、乗鞍岳の好展望のポイントなどもあり自転車や徒歩の人も少し見かけるが、少し行って上高地乗鞍スーパー林道の入口からは本格的に山道となる。ここの看板に「土砂崩落のためスーパー林道通行止め 白樺峠まで通行可能」との表示があり、うーんと思ってしまうが、今日ここまでも車が何台か後ろから僕らを追い抜いていっているし、朝で時間にも余裕があるので、行けるんじゃない、という感じでそのまま進んでいく。

Photo, CLick to Popup  Photo, CLick to Popup
乗鞍岳を見ながら登り | 観光センター
Photo, CLick to Popup  Photo, CLick to Popup
スーパー林道入口 | 快適な登り

 峠までは150m程度のアップである、勾配もそんなにきつくないので会話しながら登れる感じ。きのう会ったサイクリストの話では、「白樺峠は、以前は展望が良かったけど、今は木が茂ってあまり見えなくなった」とのことだったので、登り途中の少し展望が開けたところで小休止し、あと少し行くと峠っぽいかな?と思いつつ、どこが峠なのか良く分からないうちに、なぜか道の両側に路上駐車が延々と続いている状態となった。ちょっとした東屋とトイレが立っているが、大量の路上駐車はみなここから登山する人達のようだ。(後から調べると、峠から徒歩20分で「鷹見の広場」まで行けて、バードウォッチャーの人気ポイントらしい。9月は鷹の渡りがみられるシーズンなのだそうだ。)
 なんか休憩する雰囲気でもないので、9:40僕らは早々に先に進むことにする。ここからは長い下りなので、ウインドブレーカーを着込む。すぐに通行止めの鎖ゲートが現れるが、僕らはこれをくぐっていく。

Photo, CLick to Popup  Photo, CLick to Popup
車で一杯の峠 | 通行止めの鎖

 ゲートから先に下っていくと5分もしないうちに、崩落現場が現れた。道幅の半分以上が崩落していて、ガードレールも大きくひん曲がっている。車はまず通れないし、自転車を押して通過するのもちょっとドキドキするポイントだった。写真をとって、また慎重に下り始める。

Photo, CLick to Popup
崩落現場

 崩落個所さえなければ、快適な木漏れ日の中の下り坂である。落ち葉と小石が散らばっているので少し気を使いつつ下っていくと、向こうから登ってくるサイクリストともすれ違ったので、ああこの先も通れるんだな、と安心する。さらに下っていくと、猿の集団が現れたりして、写真を撮ったりしながら楽しい下りを進んでいく。奈川温泉の少し手前で、林道出口のゲートが閉まっていて、通行止めの看板もある。これは頑丈な鉄製のゲートで、看板もけっこう年季が入っているけど、いつから閉まっているのだろう。と思いつつよく見ると「通行止」でなく「通止行」になっているのに気づき、なんじゃこりゃ、とひとしきり皆で笑って楽しむ。

Photo, CLick to Popup  Photo, CLick to Popup
落ち葉の下り | 猿の集団
Photo, CLick to Popup
出口ゲート

 奈川温泉からも更に快適に下って、県道26号に出たところで小休止。ここまで下るとだいぶ気温が高くなったように感じ、レッグウォーマーを外して薄着になる。車で旅行中のおばちゃんに話しかけられ、乗鞍に行く近道で昔スーパー林道を通ったことがあるけど、行けるか?と聞かれたので、昨日走った国道経由の行き方でお伝えした。


 県道26号を4㎞ほど南下すると、野麦峠方面への分岐。ここで11時前、野麦峠までは550m程度のアップだ。ここの道路情報看板も「通行止め 雨量規制」となっているけど、今日は快晴だし、単なる外し忘れだろうと思われる。

Photo, CLick to Popup  Photo, CLick to Popup
道路情報の看板 | キャンプ場前

 峠でお昼に出来そうだね、という感じで登りスタート。すぐ暑くなってきたので、長袖を脱いでTシャツになる間に、もう二人は快調に先行して見えなくなってしまった。5㎞くらい先で二人が待ってくれていたのは、野麦峠オートキャンプ場前で、ここにはツーリングマップルに載っている「峠路」という蕎麦屋が建っているが、今はもう営業していないようだ。ここから更に15分くらい進むと、「旧野麦街道」の遊歩道と交差するポイントで「ああ野麦峠」の石碑があってまた小休止。

Photo, CLick to Popup
旧野麦街道

 ここから先は坂もきつくなり九十九折の道となる。30分くらい黙々と登っていくと視界が開けてきて展望台になっていたので、峠はまだだけど標高は既に1600mを超えているしあともう少しだろう、ということでまた小休止。
 展望台を出発すると、ものの3分くらいで12時15分ころ、県境の野麦峠(1672m)に到着!味わいのある峠の標識と後方の乗鞍岳がきれいにみえているところで記念写真をとって、奥の広場のようになっているところへ進んでいくと、「お助け小屋」という茶屋も営業しているようなので、ここで大休止とする。

Photo, CLick to Popup  Photo, CLick to Popup
展望台前 | 峠

 「峠の資料館」の屋根の上がそのまま乗鞍岳の展望台ともなっていて、写真を撮ったりできるが、まずは「お助け小屋」の前のベンチでおにぎりの昼食をとる。Gokiさんとダズは更に「お助け小屋」で蕎麦も食べよう、と入っていく。浦野さんは「よく食べれるなあ」と言いながら、コーヒーだけ注文。小屋の中は、昔の映画「ああ野麦峠」の資料をいろいろ展示していて、食堂コーナーではその映画の終盤のシーンを中心に編集したものを繰り返し放映していた。主演は大竹しのぶ(当時22歳)。あと男優さんは浦野さんいわく「『北の国から』で材木屋だった人」というので、ああ地井武男ですね?というと「そうそう」とのこと。確かに、よく見ると若いけど地井武男だ!
 このあとは「峠の資料館」を見学。日本中の峠について展示している、との前情報だったのでちょっと期待して入ったけど、野麦峠以外の峠の展示なんてほとんどなかった(コロナで縮小しているのかも?)。でも、1979年作の映画「ああ野麦峠」のポスターや新聞記事は面白かったし、映画も小説も見ていなかった僕は、飛騨地方の少女たちの生糸生産の過酷な労働は明治日本の外貨獲得と富国強兵のためであった、という背景も初めて知って、勉強になった。それにしても、この一帯はずっと野麦峠の哀愁感ある歌がエンドレスでかかっていて、毎日ここで働いていたら精神的にも影響を受けてしまいそうな感じがする・・・

Photo, CLick to Popup  Photo, CLick to Popup
お助け小屋 | ああ野麦峠の石像

 さて休憩も充分とって、13時半ころ峠を下りはじめる。ここから20㎞近く、国道361号に出るまで標高500m分ずっと下りか、と思いきや、この県道にはなぜか途中に寺坂峠という160mアップの峠がある。ただこの峠をパスして飛騨川沿いに下り続ける道路も地図には記載されているので、これを行こうよ、ということになっていた。なので野麦峠から20分くらいはガンガン下りを楽しんだ後、「たかね野麦オートビレッジ」を過ぎたあたりからは、脇道の入口に注意しながら下っていく。と、発見した脇道の入口には「工事関係者以外立ち入り禁止」の看板とゲートがあり、ここはあきらめて寺坂峠を登ることにした。20分足らずで寺坂峠着、ここはほとんど休まずに下っていき、14時半ころ国道361号に到達。ここでキャンピングの若いサイクリストと出会い、彼は今から野麦峠方面に登っていくところとのこと。いまから大変だなあ、夜は寒いだろうなあ、などと話しつつ、でも若いからできるんだろうね、ということで僕らは納得。
 ここから国道はすぐに、全長2㎞くらいの高根トンネルとなるが、長いトンネルを避けて高根第一ダムの東岸の道を通ることにする。ダム沿いの道はやっぱりキツイのかなあ、と少々不安だったが、分岐の入口に防護服をきたおじさんが、こっち行けるよ、といっていたので(ハチを駆除したから行けるよ、ということだったらしい)、進んでいくと、車も全然通らないし古い味わいのある小トンネルを幾つも通り、途中には猿も出没して楽しい道だった。最後にちょっと下って鉄橋を渡ると元の国道の高根トンネル出口のところに合流する。鉄橋の欄干でGokiさんは猿とかなり接近してびっくりしたとのこと。
 国道に戻って更に7㎞くらい下ったところで、道の駅「飛騨たかね工房」に到着、ちょうど15時なので休憩とする。ここでは喫茶コーナーでコーヒー休憩したいね、と話していたのだけれど、喫茶コーナーは残念ながらもう閉まっていた(早いんでないの?)。仕方ないので缶コーヒーを飲む。

Photo, CLick to Popup  Photo, CLick to Popup
道の駅 飛騨たかね工房 | 日和田の石仏記念写真

 道の駅で20分ほど休憩して出発。ここから2㎞ほど進むと権現トンネルというこれも全長2㎞ほどの長いトンネルがあり、またトンネルを迂回するように朝日貯水池・久々野貯水池沿いの道を行こうと思ったのだけれど、この迂回路には通行止めのゲートがあった。ここでリスクを冒すのもねぇ、と、あきらめて権現トンネルを通ることに。ここはトンネル内が工事中らしく、信号機付きの片側交互通行となっていたが、ガードマンの人が「自転車は右側車線(工事している側)を走って行って。」というので赤信号待ちの車列を尻目に右側を注意しながら走っていく。新しくて広さも十分な快適なトンネルで、工事標識が点々と置いてあるが、行けども行けども工事個所は見当たらず工事車両もないまま、とうとう右側車線を走ったままでトンネル出口に至る。「工事してないのにどうして交互通行にしているんだろう?」との疑問は解けないまま、とりあえず安全に通過出来て良かったね、と、更に国道361号を下っていく。
 そろそろ勾配は緩やかとなり、風向きも向かい風となってきたのだが、「もう宿まで下りだけ」と思っていたダズは先頭で体力を使い切るような走り方をしていた。ダズの持っていた「ツーリングマップル関東甲信越版」(2018)は高山市をカバーしていないため、宿周辺の部分については昔の小さい版の「中部2輪車ツーリングマップ」(1995)のコピーを一応持参してはいたものの、道路接続も自治体名も古いし、正直なところあまりよく見ていなくて、本当はあと一山越えなければならないのを気づいてなかった。(これが最後にばてる原因に・・・)
 それと、このあと国道361号から飛騨一之宮方面へショートカットするために県道に入る、というのはなんとなく認識していたものの、ここも同様に良く地図を見ていなくて、久々野町大西の分岐で県道87号に入ったことで「これでいいのね」と思ってしまい、早く宿につきたい一心で走り続けてしまった(本当は、県道87号入口のところで、直進せず右に行ってすぐ左に入るのが正解。ちなみにダズの古い地図ではこのあたりのルートは現在の様子とだいぶ違っていた)。このショートカット道への入口については、Gokiさんもグーグルマップを開いて道をチェックし、こっちに進んで少ししたら分岐だ、と思ったけど、なんか方向が合っていないな、と思ったものの追求せずにスタートしてしまい、また分岐がなかなか出てこないと思ったものの走り続けてしまった、とのこと。やっぱりみんな夕方で疲れてきていたのかも。
 さらに進んで「久々野駅前」の標識が出てきたところで、これはどうも間違っちゃったね、ということになり、国道41号線に出て飛騨一之宮方面に北上する。だいぶ遠回りになっちゃったが仕方ない、と交通量の多い国道を走るも、どうも本格的に登っている。ここでダズはどうにも身体に力が入らなくなり、頭がフラフラして、倒れるんじゃないか、という気がしてきたので、たまらず休憩。とりあえず甘いものを、と饅頭を口に押し込んで、あと黒砂糖と飴を食べたらどうにか回復した。落ち着いたところで地図を見ると、飛騨一之宮までは「宮峠」という名前の付いた、れっきとした峠を越えるのだった。(行くはずだったショートカットの県道も、この峠のピークに出てくる)
 ここで一息入れて16:40、あとちょっと頑張ろう、ということで宮峠に向かい、下りはヘアピンカーブや道路表面の縦溝も切ってあるので慎重に下る。下り切ったら一之宮市街に入り、国道沿いにあるという本日の宿「臥龍の郷」には夕闇迫る17時少し前、どうにか無事に到着!いやーつかれた。明るいうちに着いて良かった、宿は日帰り温泉施設っぽいところで宿泊もやっている、という感じ。


 宿泊:臥龍の郷

 支配人のような人が自転車を屋根の下に止めるよう誘導してくれて、あとはフロントでチェックイン。ここでも体温測定が行われる。
 部屋に移動して一休みしたら、まずはお風呂だ。スーパー銭湯のような大浴場で、内湯も外湯も広々している。ゆっくり汗を流したら、次は昨日できなかった洗濯。今日の宿には隣にコインランドリーが併設されているので、二日分の洗濯物を三人分まとめて放り込みスタート。そして部屋に戻りつつ自販機で缶ビールを買って、今日は夕食前に部屋で乾杯し、いや~うまい~と感動したあと、おもむろに明日の日程とコースの検討に入る。
 明日最終日は、それぞれの帰りの手段、特にGokiさんとダズは帰りの電車の時刻を考慮しなければならない。元の計画では解散地を新島々としていて、そこから輪行して松本に出る計画だったので松本から先のJR券は確保していたが、集合前日のコース変更により解散地が木曽福島に変更になった。木曽福島から松本もしくは諏訪方面への移動と、そこから先の接続についてスマホであれこれ検討した結果、木曽福島駅にはできれば16時、遅くても16時半には到着したい、ということになった。
 次に明日のコースとして、まず長峰峠へのルートは、今日走った国道361号となるべく重複しないようにしたいので、権現トンネルの手前から県道435号(御岳山朝日線)に入り、柳蘭峠経由、県道463号(朝日高根線)を通って長峰峠の1㎞手前で国道361号に戻る というプランで3人とも合意。しかしその先について、協議が難航した。Gokiさんの計画では、国道361号を下って開田高原から地蔵峠旧道を越えて、旧飛騨街道で木曽福島へ下っていく(全走行距離82㎞ 獲得標高1713m)というコース。ところがダズは、今日の獲得標高が1446mだったことと今日の疲労具合から考えて、開田から県道20号でそのまま下る(走行距離81㎞ 獲得標高1566m)のが良いのではとの意見だ。Gokiさんは、長峰峠はそんなに面白い峠じゃないし、それに対して地蔵峠旧道は走りがいのある良い道だよ、というのだが、一方のダズは、今回のランに備えてスマホアプリ「自転車NAVITIME」のプレミアム有料会員(の、お試し無料期間中)を導入したものだから、あれこれルート検索しては数字の比較に終始している。なかなか話がまとまらない中で、ふと誰ともなく言ったのが、「長峰峠への県道(435号と463号)も、ちゃんと通れるかチェックしておこうよ」との意見。そうですね、とさっそくネット検索してみると、なんと!県道435号(御岳山朝日線)は通行止めになっているではないか~!(日和田~胡桃島の区間が全面通行止め)
 そうなると、長峰峠への道は国道361号で行くしかなくなってくる。そしてその場合、獲得標高は400m以上減少することになり、それだと地蔵峠旧道にも充分行けそうな気がしてくる。ここでようやく話がまとまり、まず朝は早出を心掛け、7時の朝食を終えたら速やかに出発できるよう事前に準備を整えること、昼食ポイントはなさそうなので、宿からすぐのローソンで昼食を買い出しすること、そして国道361号で長峰峠を越えた時点で、地蔵峠旧道に行くかどうするか決めることにしよう、ということで、ようやく検討会は終了。
 ちょうど晩御飯の時刻になったので、浦野さんが洗濯物を乾燥機に移しに行ってくれて、そのまま夕食の宴会広間へ移動。Gokiさんとダズは、最初別の食堂コーナーに迷い込んだのだけど、宿泊プランにより色々分かれているようで、僕らの夕食会場へはホテルの人に連れて行ってもらった。各自の席に置いてある白い紙のようなものは、「×〇▽です」と言われてよく聞こえなかったのだけど、浦野さんに聞くと「マスク入れ」だそうな。改めて瓶ビールで乾杯し、楽しく夕食。本日は焼き物に飛騨牛もあったし、ご飯はおひつでなく仲居さんにお茶碗を渡してお替りする方式で、しっかり三杯食べてデザートもついて、大満足。

Photo, CLick to Popup
夕食会場

 食事のあと洗濯物を取りに行くとみんな乾いていた。外の空気も気持ちよく、明日も晴れそうだ。部屋に戻ってちょっとテレビをつけたりして、布団に入っているうちに9時近くなりそろそろ寝るか、と消灯。 ・・・なぜかいつものようにスッと睡眠に入らなくて、もぞもぞと寝返りを繰り返したりしていたのだが、Gokiさんと浦野さんからも寝息が聞こえてこないようだなぁ、と思いつつ、2時間くらいは眠りにつけなかった。翌日聞いてみると実は皆なかなか眠れなかったとのこと。なんでだろう?エアコンのせい?それとも飛騨牛のせい??


【浦野コメント】前日の「宿が予約されていない事件」の余波で、乗鞍高原まで100m以上登り返すことになったが、朝一・快晴だったこともあり前日より気分よく登れた。乗鞍岳頂上もきれいに望め「こんな日に上まで行かない(行けない)のはもったいない」という想いで、早くも来年のリベンジを誓う。野麦峠は昔学校で女工哀史について習った時から名前は知っているものの、訪れるのは初めて。峠の食堂で映画のクライマックスシーンを流していたのはさもありなんという印象だった。
【Gコメント】今日も最高の天気で気分良く走れた。出だしの白樺峠下りの崩落箇所をやり過ごせたのは本当にラッキーだった。ここがダメだと高山までヤバイほど遠回りになるのだ。白樺峠の急な下りで、しばらくすると目の問題(左右視野を一致させる力がなくなる)が起きるとわかり、以後急な下りではゆっくり走ることになる。登りに関しては、野麦峠途中のキャンプ場までは快調だったが、その後急に力が出なくなった。最近は2h以上走ったことがなかったので、体が拒否したのかもしれない。野麦峠は以前逆方向から越えているが、記憶のあるお助け小屋に着くまで、全く違うイメージが浮かんでいた。走ったところは結構細かいことまで覚えているのが自慢だったが、ここ10年くらいで記憶が急激に薄れている感じがしている。


Map, Click to Popup 3日目:9/22(火) 高山→飛騨一宮駅→宮峠→飛騨たかね工房→長峰峠→地蔵峠→木曽福島= (83km/1373m) 晴れ
 今日も朝風呂に入れるということで、浦野さんは5時ころ起床して入りに行った。朝食は7時からなので、その前に準備を出来るだけ整える。トイレもなるべく早く済ませたいので、朝からお茶やジュースを飲んで内臓の目覚めを促し、パッキングも全て完了して7時を待つ。宿取りを担当した浦野さんから「今日の朝食はトースト食べ放題+コーヒー+α(卵が付く)」と事前に聞いていた。一階の喫茶コーナーで準備をしているようなので、ちょっと早いけどいいですか?と聞いてみると、「7時からですから」と断られたので、仕方なく新聞を見たりして近くで待機する。
 7時ちょうどに喫茶コーナーに席を確保し、さっそくトーストを焼く。ちいさなサラダとゆで卵もついていた。トースターのすぐ上に「トーストは一人一枚です」という表示がしてある。おや?と思い係のおばちゃんに「トーストはお替りできますか?」と尋ねると、いいえ、とばかりにその表示を指さしつつ、「コーヒーはお替りできます」と言う。えーまじで、と思ったけど、わざわざ表示してあるし仕方がないかと思ったが、浦野さんは、しばらく思案したあとやっぱり言おう、とおばちゃんに歩み寄り、「ネットで予約した後、改めて宿に電話して、トーストは食べ放題、と聞いているんですが」と話した。するとおばちゃんは「フロントに確認してきます」といっていったん離れたが、戻ってきて、やはりだめだという。がっかりだが仕方ない。昼食買い出しのローソンで朝食も補給することにして、ここは矛を収める。

Photo, CLick to Popup
早めの出発

 さて出発写真を撮って予定通り7時半に出発。ローソンでサクッと朝食補給もして、まずはこの近くの名所であり、宿の名前の由来にもなっている「臥龍桜」を見に行く。飛騨一之宮駅のすぐ近く、ということで、少し道を行き過ぎたりしたけど修正して駅に到着。無人の駅舎からホームに出て、歩道の跨線橋で向こう側に下りてすぐの寺の境内が「臥龍公園」になっていて、臥龍桜を見学できる。樹形が龍の伏した姿に似ている、ということで名づけられた、樹齢なんと1100年!の立派な古木で、平成三年には台風による大きな被害にもあったが地元の人々の懸命な処置により復活したということで、地域でとても大切にされている名所だということがよく分かった。

Photo, CLick to Popup  Photo, CLick to Popup
臥龍の桜 | 飛騨一ノ宮駅

 さてここを8時15分過ぎに出発、昨日も越えてきた宮峠をまた登る。110mほどのアップだが交通量も勾配もかなりあってけっこう大変だが、Gokiさんが快調に登っていく。峠からは国道41号を離れて、きのう通るはずだったショートカット道に入って国道361号方面に向かう。これもけっこうな勾配の登りがあった。国道361号に出て、「あー昨日はここでこう間違ったんだよね、」と復習しつつ、昨日走った国道を遡っていく。今日も空は快晴で、きのうと時間帯が違うせいか、また新鮮な気分である。ここは浦野さんが快調にハイペースで先頭を引っ張ってくれて、離されないように必死でついていく。工事をしてないのに片側交互通行の権現トンネルは、昨日は自転車を先行して通してくれたが、今日は信号を待って車の後からスタート。進んでいくと、今日は左車線側で工事をしていた。長いトンネルを通過して、昨日と同じ道の駅「飛騨たかね工房」で9時半、ここで小休止。
 このあとも引き続き浦野さんがハイペースで引っ張り、塩沢温泉からは昨日と同様に高根トンネルを避けてダム沿いの道に入る。ここを抜けて国道361号に戻ったところが野麦峠へ向かう県道39号との分岐で、昨日と同じ道のりはここまでだ。ここからは長峰峠方面へ向かっていく。長峰峠の登りは交通量も少なくて走りやすく、勾配も昨日ほどでないが、今日も晴天なのでやはり登りでは暑くなりTシャツ一枚になる。こんどはGokiさんが先頭になって快調に飛ばしていき、ついていけずに姿が見えなくなった。こんな山の中の国道なのになぜか「ランナーに注意、譲り合っていきましょう」みたいな看板がいくつも立っているので不思議に思ったのだが、この先に峠近くなってから陸上競技の合宿所があるようで、この道は格好のトレーニングルートになっているようだ。峠の頂上付近で、今日行けなかった柳蘭峠からの道(県道463号)が合流する。ここからあと一登りして、予想よりだいぶ早く11時過ぎ、長峰峠(1350m)に到着!

Photo, CLick to Popup  Photo, CLick to Popup
登り途中で休憩 | 長峰峠

 さてここで少し早めの昼食タイムとして、おにぎりを食べながら、この後のルートは地蔵峠旧道に行くことに満場一致で決定。11時半下りはじめる。田園地帯を快適に走り、開田の集落に入ったころ、またまた災害復旧工事で国道361号線の一部に通行止めが。

Photo, CLick to Popup
通行止めの看板

 まあここは迂回路が設定されていて、また国道361号に復帰できるようなので、看板の指示に従い、迂回路の県道20号に入る。4kmくらい南下してから、左折して国道へ向かうのだが、けっこうなアップダウンがあり、特に左折してから国道までの最後の2kmくらいは強烈な登りで、いやーまいった、思わぬところで消耗する羽目になった。

Photo, CLick to Popup
国道に戻ったところの写真

 ここからはあと5kmくらいで地蔵峠旧道への入口となる。ちょうどその付近に「開田高原アイスクリーム工房」があるらしいので、峠を登る前にそこで休憩しよう、ということになる。アイスクリーム工房に近づくとにわかに人・車が多くなり、そこだけ観光地のような賑わいになっていた。みんなここを目指してわざわざやってくるのだろうか。
 12時半、アイスクリーム工房到着。ソーシャルディスタンスを取りながらの行列が出来ているので、僕らも並んで購入。とうもろこしソフトっていうのが、ここオリジナルの名物のようだ。

Photo, CLick to Popup  Photo, CLick to Popup
アイス休憩 | 工房全景

 アイスは食べたが、コーヒーも飲みたかったな、と思いつつ近くの自販機に立ち寄って水分を補給する。Gokiさんはブラックの缶コーヒーを買ったが、二口くらい飲んだらもう満足した、とのことで、みんなで回し飲みするも、少し残ってしまったのでキャップを締めて持つ。で、1時ころいよいよ地蔵峠旧道に向け出発。と思ったら「木曽馬の里」(観光牧場)に向かう道路だった、戻って正しい道に入りなおす。旧道は車の通行もほとんど皆無で、山の中の静かで味わい深い良い道だ。ここから峠までの約150mアップがGokiさんとダズにとってはツアー最後の登りとなるので、元気よく並んで登っていく。ちなみに浦野さんは木曽福島で解散したあと、まだ車のデポ地までの15㎞250mアップが残っているのだった。20分ほどで、峠手前の展望台があったので小休止、木曽御嶽山方面を眺める。山頂は雲がかかっていた。

Photo, CLick to Popup  Photo, CLick to Popup
峠展望台 | 浦野さん追いつく
Photo, CLick to Popup
木曽御嶽山方面

 展望台から更に登ること10分ほどで、地蔵峠(1370m)に到着!お地蔵さんもいて渋い雰囲気のすてきな峠で、やっぱりGokiさんの言う通り来て良かったなあーと思った。Gokiさんは持ってきたブラックコーヒーを美味しそうに飲んでいた、と思ったら、既に温くなっていて、あまり美味しくはなかったらしい。

Photo, CLick to Popup  Photo, CLick to Popup
地蔵峠

 ここから先は旧飛騨街道を下っていくが、ツーリングマップルによると2㎞くらい先の道沿いに唐沢の滝というポイントが書いてあり、これを頭に入れつつウインドブレーカーを着て長い下りに入っていく。ほどなく唐沢の滝の看板が現れ、「徒歩7分」と書いてあって、どうします?と思ったけど、浦野さんとGokiさんはぜひ行こうという感じだったので行ってみたら、これまた素晴らしい滝だった、行ってみて良かったー。

Photo, CLick to Popup
唐沢の滝

 ここからまだまだ下る。森の中をどんどん下っていくのは最高の気分だ。更に5㎞くらい快適な下りを楽しんで国道361号に合流し、あとは解散地点の木曽大橋まで一気にたどり着いた。橋を渡ったところで14時20分、浦野さんとはここでお別れだ。今回走れなかった乗鞍岳エコーライン&スカイラインのリベンジをぜひ来年、ということで、浦野さんをお見送り。

Photo, CLick to Popup
木曽大橋、浦野さんとお別れ

 Gokiさんとダズは、木曽福島の駅に向かうが、国道19号は交通量も多いうえに福島トンネルという長めのトンネルがあるので、これを避けて木曽大橋を戻り対岸の道を進み、木曽福島の市街地を通っていく。木材の豊富な木曽らしい木造の古い町並みを保存(または再現)していて良い雰囲気、今まで知らなかったがこの町はけっこうな観光地のようで、連休を利用した観光客がたくさん来ているようだ。そして14時40分、木曽福島駅にゴール!

Photo, CLick to Popup
木曽福島駅

 昨日立てた目標よりも十分な余裕を持っての到着となったので、ゆっくりと輪行準備して着替えもして、乗車する電車もいろいろ再検討し、せっかくだからゆっくりお茶飲んでから行こうよ、ということで16時25分発の「特急ワイドビューしなの」に乗ることにして、駅前の喫茶店で一時間以上ゆっくりとコーヒー飲みながら自転車談義を楽しんでからJRで帰路についた。


【浦野コメント】最初の30km強は前日とほぼ同じ道を川沿いに登っていくコース。地蔵峠からの下りは豪快の一言。木曽大橋(国道361号と19号の交差点)で2人と別れた後は車のデポ地まで交通量の多い国道を約13km(240mアップ)、ヘロヘロになりながらもなんとか走り切った。道の駅で土産を買って16時前に出発、23時頃自宅着。
【Gコメント】朝は少し曇ったが今日も総じて良い天気で、楽しく走れた。最近試している左脚のペダリング改良がはまってきて、朝一の宮峠から快調に登ることができた。また、浦野の激走につきいちで行ったおかげで、エネルギーが温存できて、長峰峠の登りでは大分先行した。と思っていたら頂上直前でDAZに追いつかれた。これらで時間的に余裕ができたおかげで、希望通り旧道の地蔵峠を走れてとても良かった。ただし、下りは皆を待たせてゆっくり走るしかなかったので、これは今後の課題。久々にとても楽しい3日間だった。最後に、長い帰りの電車、甲府駅の乗り換えで特急へ乗り損ねたのは痛かった。身延線ホームへの表示がひどく分かりにくかったのだ。


<おわりに>
 2020年待望のラン企画は、最高に楽しかったです。出発前の段階では週間天気予報の動向に一喜一憂し、直前のコース変更には本当にハラハラしましたが、実際に走り出してみれば、最高の天候に恵まれ、峠あり、温泉あり、ハプニングもありの充実したツアーでした。そしてGokiさんと一緒に泊まりでツアーに出かけるのは実に久しぶり(2017年11月の奥日光、2018年9月の松下さんOBラン以来)、ということも大変嬉しいことでした。
 久しぶりのランだったため身体への負荷もかなりなものだったことには、帰ってきてからのダメージで初めて気がつきましたが、ツアー中は楽しさが勝っていたせいか、まったく気になりませんでした。
 今年はコロナ禍でいろいろな楽しみを我慢しながら日常を過ごしてきた分、今回のツアーでは走れる喜びをより深く味わえたと思います。そしてまた次のラン企画へと、気運が盛り上がっていくきっかけにもなったと思います。 
 来年は乗鞍エコーラインとスカイラインの完走を、ぜひ!


関連リンク:
 マウンテンサイクリング in 乗鞍