2021房総ラン レポート

Photo, CLick to Expand
落ち葉と素掘りトンネル
by DAZ(投稿日: 6 Dec 2021)

Map, Click to Expand 日程:2021/11/20(土)~ 11/21(日)
参加:G(計画)、宮村、DAZ、浦野、吉岡
コース:=君津→太海→馬来田=

 ツーリング記録 参照
<はじめに>
 11月初めに一泊で妙義荒船ランを走った時、次は11月末の4連休でツアーを・・・とGokiさんから当初構想のご提案があった。11月22日(月)はGokiさんの勤務先では休みになっていて、ほんとの4連休と思っていたとのことだが、実際には22日は平日なので飛び石連休である。2週間天気予報が出た時点で11月22日、23日の予報があまり良く無さそう、ということから、飛び石連休前半の土日で房総ランの計画が提示され、5名の参加で宿取りまで全てGokiさんがコーディネイトして下さった。ちょうど紅葉シーズンだし、房総は寒さ控えめで標高も低めだからあまり厳しくなさそうだし、という少し優しいイメージで参加したが、実際は目一杯走りごたえのある、そして房総ならではのユニークな見所も満載の、充実したランとなった。



Map, Click to Expand 1日目:11/20(土) =君津→福岡口→鹿野山・神野寺→富津→もみじロード→大山千枚田→愛宕山(嶺岡中央林道)→太海 (67km/1223m) 快晴
 メンバ:G、宮村、DAZ、浦野、吉岡

*出発〜神野寺〜昼食
 新宿発7:50の新宿さざなみ1号に乗って君津駅に9:16に到着し、まずGokiさんと合流した。南口に出て自転車を組み立て始める。外は快晴で予想より暖かく、これはどうも防寒着を余分に持ってきちゃったようだなーと感じた。9:36到着の吉岡さんもダウンのベストを着ていて、同様に思ったようだ。宮村さんと浦野さんは、道の駅「木更津うまくたの里」を8時に出発して君津駅まで走ってきている。同じ南口でも地上に降りてくる階段が二つあって、輪行組と反対側で待っていたので出会うのが遅くなったが、ともあれ予定通りに全員集合。今回は吉岡さんが、HUCC関東OB会の旗を初お披露目で持参していて、10時5分前には出発写真を撮影する。
 まずは駅前からふれあい通りを東へ進む。国道127号線に出てすぐ県道164号線~163号線で、福岡口から鹿野山方面へ右折したところでちょっと小休止し、立ち話中に宮村さん立ちゴケのご愛敬が。ここから鹿野山への道はツーリングマップルでは紅葉マークが付いているが、入り口部分は桜並木のようだ。土日祝の昼間は一方通行のようで、僕らはこれを逆走する形で登っていくが、交通量はほとんどなくて特に問題ない。坂もそれほどきつくなく、皆でおしゃべりしながら元気に登って、11時ころ鹿野山神野寺に到着した。
 まずはご神木のようなイチョウの巨木が目を引く。黄葉は、最盛期までもう一声、というところか。マスクをつけて参拝に向かう、境内はモミジもきれいに赤く染まっていて楽しめた。宮村さんは早速御朱印も入手していたようだ。

Photo, CLick to Expand  Photo, CLick to Expand
君津駅を出発 | 宮村の立ちごけ
Photo, CLick to Expand  Photo, CLick to Expand
神野寺境内

 ここの見学で少々時間を使ったので、次のポイントとなるマザー牧場は通過でいいよね、ということで県道93号線を一気に下り、国道465号に至ったところで昼食タイム。この辺りはお店などあまり無さそうに見えるエリアだが、Gokiさんの事前リサーチに基づいて国道に入る手前の小道を右に入っていくと、調べてあった通りに「キッチン千石」という食堂に行き当たり、スムーズに昼食をとることができた。
 すてきな洋食屋さんで、本日のおすすめ等の貼り紙を見てそれぞれ注文する。ハンバーグセットは200~600gから選べるようになっていて、吉岡さんが注文したのは200gだったが、それでもボリューム感のあるセットだった。浦野さんはディクセルかつ定食(豚ひれとクリームソースを合わせたカツの定食)、Gokiさんと宮村さんとダズはハンバーグとポークソテーの盛り合わせ定食、みんなそれぞれ大満足のランチタイムとなる。貼り紙によると今年の年末で閉店とのことで、こんな素晴らしいお店が無くなるのはなんとも残念である。

Photo, CLick to Expand  Photo, CLick to Expand
キッチン千石 店内

*もみじロード〜千枚田〜中央林道
 昼食後は国道465号線から県道182号線「もみじロード」に入る。ここの道は紅葉の名所が点在する、ということで、確かに所々にモミジが見られるのだけど、休憩して写真撮ろう!と思わせるようなポイントになかなか出会えない。むしろ印象に残ったのは延々と繰り返すアップダウンのきつさで、つい頑張って黙々と走り続けてしまって、結果的にかなり消耗する区間となってしまった。
 もみじロードが終わって県道34号に出た所で1時40分ころ、ここでようやく小休止する。気を取り直して大山千枚田方面へ。千枚田は二期作なのか、背の低い稲らしきものが植わっていて、予想していたより広大なところで良い眺めだったし、車で訪れる人たちもそれなりにいて、ちょっとした観光ポイントになっているようだ。畔にペットボトルのようなものが点々と刺してあるのはライトアップのLEDらしく、後でネット情報を見たところ夜景もまたすてきな眺めのようだ。

Photo, CLick to Expand
大山千枚田にて

 一番高いところに「棚田カフェ」が有って、Gokiさんはお腹の調子を整える意味もあって?ここでコーヒー休憩を希望したのだが、まだこの先の行程と日没までの時間を考えると早く進んだほうが・・との雰囲気となり、残念ながらカフェをパスすることに。この周辺はいろいろな道が錯綜しているので、Gokiさんから「OK、グーグル!」の掛け声がかかって宮村さんがグーグルマップを開く、という最近恒例のパターンで愛宕山方面への道をチェックし、たびたび確認しながら進んでいく。
 ここから先の嶺岡中央林道は、ちょっと止まって休憩するようなポイントがなくて皆写真も撮っておらず、午後の疲労もあってか記憶が余り無いのだが、天候がずっと良かったので気持ち的にはゆとりが有った気がする。ピークを過ぎた後の下りはカーブが少なくて車も来ないのでスピードを出せる快適な道で、ガンガン下っていくと、振動のせいで僕の自転車から何かがふっとんだかな?という感じがして、瞬間的に「前輪ハブ軸に留めてあったライトが外れて飛んだかな」と思った。(簡易的なゴムバンドで留める方式なので、一番外れやすいものとして頭に浮かんだのがこれ。) で、「ナイトランも無さそうだし、まぁー無くしてもしかたないや」と60km/hで下っているさなかに判断し、止まらずに下り続けたのだけど、少し先で先頭のGokiさんが停止しているところで僕も止まったら、次に来た浦野さんから、「ダズの落とし物を吉岡が拾ってくれているよ」との声が。やっぱり何か落としちゃったんだ、と思ったけど、ライトはちゃんと前輪横に付いている。はて何を落としたのかな?と思ったら、オーラスを走っていた吉岡さんが拾ってきて下さったのは、ボトルだった!「ライトかと思ってそのまま下っちゃいました」と言ったら「ライトだって拾うでしょ」と吉岡さん。すみませんでした、ありがとうございます。
 この先、「キャンピングヒルズ鴨川」の看板があったところで一旦停止する。ツーリングマップルによれば「二子棚田」(海の見える棚田)がこの近くにあるはずで、宮村さんにグーグルマップをチェックしてもらったところ、入り口をちょっと過ぎちゃっている、とのこと。で、浦野さんの「今日はもう充分走ったし。もうパスパス!(笑)」との声により通過を決定し、一路宿へ向かうことにした。夕暮れ迫る16時ちょうどに、民宿はやしに無事到着!

 宿泊:民宿 はやし

 宮村さんが「瀟洒なつくりの建物だなあ」とコメントした通り、レトロだけどしゃれた感じのするきれいな建物で、周りには立派な松の木が植えられている。ほどなくして明るい感じのおばちゃんが出てきて迎えてくれた。二階に二部屋を用意してくれたとのことで、一つ目の部屋に入った浦野さんが「こっちはすごく広い部屋だよ」といいながら出てきて、僕が二つ目の部屋に入ってみると「いやーこっちもすごく広いですよ」となって、じゃそれぞれ好きなほうに、と皆で適当に分かれて入ってみると、あれ?なーんだ、中でつながっていたのね。ともあれとても広々した二部屋を充てて頂いた。
 お茶で一服したあとは、二つあるお風呂に分散して入り、浴衣に着替えて洗濯に取り掛かる。全自動洗濯機と二槽式洗濯機があり、全自動の方に3人分入れたところでGokiさんは「まだまだ入るよ、全員分入るでしょ」というのだが、ダズは「えーもう一杯じゃないですか」と躊躇して、結局もう一台の二槽式も使わせてもらって夕食前に洗濯開始した。
 夕食は6時から、仕出し用の大きなプラスチック箱に料理を載せて厨房から皆で運び上げる。一番安いプランのメニューとのことだがお刺身、てんぷら、カマスの塩焼きなど盛沢山で、ビールで乾杯して久々にランの宿夕食を楽しむことが出来て大満足だった。

Photo, CLick to Expand
久しぶりの宿夕食

 8時過ぎには夕食も片づけて、僕がぼんやりしている間に吉岡さんが二槽式のすすぎ、脱水とその都度進めて下さっていて洗濯も終了し、部屋に洗濯物を干して、後はお茶を飲みながらよもやま自転車談義をする。ハンドルの高さの設定の話とか明日のコースの話などして、9時ころには就寝した。

【Gコメント】天気最高で、一日良く走ったなあという感じ。観光ポイントの神野寺は紅葉に映えていた。大山千枚田はまあまあ。昼に入ったキッチン千石の食事はとても美味しかった。今年末で閉店するとはおしい。宿はゆったりして、食事も価格以上に豪華だった。おばちゃん(おねえさん)が気さくで良かった。70才だと、自分より少し上なだけ。

【宮村コメント】良かったこと:ヒザ出しカカト上げ意識で一日目はまあまあ走れた(二日目はすぐバテた)。神野寺ご朱印が手に入った。キッチン千石の超肉汁ハンバーグ。房総の紅葉と晩秋の花。緑色の山々に赤黄が存在感。海辺近くにサザンカ咲く。民宿はやしさんの風情。厳しかったこと:アップダウンの繰り返し。

【浦野コメント】未明に車で出発し、午前5時過ぎに道の駅木更津うまくたの里に到着したのでちょっと仮眠。8時に宮村さんと二人で集合場所の君津駅に向け走り出し、本隊と合流。最初の紅葉どころ、神野寺が2日間で一番鮮やかだった。昼食のディクセルかつ(豚ヒレとクリームソースのカツ)定食はボリューム満点。この日の最大標高は400mにも満たず楽勝と高をくくっていたが、アップダウンを繰り返して標高を上げていくコースだったため意外に消耗し、最後は早く宿に着きたい一心でダズ推薦の棚田探訪も却下に一票。

【吉岡コメント】自宅から総武線市川駅まで自走して、久しぶりの輪行、昨年の桐生からほぼ1年ぶりのツーリング。君津駅前の集合写真では関東OB会の旗をお披露目できました。普段は江戸川周辺の平地しか走っていないので、久しぶりの上り坂。非常にきつくて、鹿野山の上り坂でみんなのペースについていけない。昼食後に重ね着を脱ぐとすごく楽になる。どうやら上りの体温上昇でオーバーヒートしていたよう。平地ばかり走っていて、本当に上り坂の走り方を忘れてました。房総は低い山しかないイメージだけど、激坂もあり、獲得標高1300m越えで走りごたえがあり満足した一日でした。


Map, Click to Expand 2日目:11/21(日) 太海→安房小湊→県民の森→(奥谷林道)→麻綿原高原→筒森→素掘りトンネル群→裏養老→養老→大福山→(万田野林道)→月崎駅→チバニアン→柿木台トンネル群→(音信山林道)→馬来田= (72km/1258m) くもり時々晴れ
 メンバ:G、宮村、DAZ、浦野、吉岡

*出発〜麻綿原高原〜養老渓谷〜昼食
 6時に起床、朝食は7時に一階の厨房から運び上げる。朝にもカマスの塩焼きが付いていて、宿で一夜干ししていたものかもしれない。身体がサイクリングモードに切り替わったか、ご飯を三杯食べておひつのお替りをした。出発準備をしているときに宿のおばちゃんが、人数分のみかんをおみやげにと持たせてくれた。8時に宿の門前で出発写真を撮る。おばちゃんに撮ってもらったのは、おばちゃんの指が写っていてご愛敬。
 8時5分に、曇り空のなか出発する。まずは海岸沿いに進んで鴨川の市街地を通り抜け、鴨川シーワールドの先からはトンネルの多い新道と別れて海岸沿いの旧国道を進む。この辺りではロードバイクのグループを何度か見かけた。安房天津あたりのコンビニで小休止し、飲料の補給などをする。ここまで来る途中で見かけた「雲間から筋状に太陽の光が差し込む光景」を何と呼ぶかについて、いい言葉があったはずだが・・・と気になったGokiさんはそれを宮村さんに尋ね、宮村さんはスマホ検索しながら考えていたが、この時はぴったりの答えに至らず。(良い言葉が見つかったでしょうか?)

Photo, CLick to Expand  Photo, CLick to Expand
玄関横の談話室(出窓で一夜干し) | おねえさんに撮ってもらった出発写真

 また、ここまでの道中で「ロシア人上陸の地」の案内板を見かけていたのでそこに寄りたいと言ってみたら、ちょうどこのコンビニからすぐ海側の脇道に入って500mほど先にあるようなので、立ち寄ってみることに。ちょっとした碑が建っていて、ロシアのオホーツク探検事業の一環で1739年に数名のロシア人が上陸した、とある。ペリーの黒船来航の114年前の出来事だが、後で調べるとこちらは「元文の黒船」とも呼ばれているらしい。ここでプチ観光した後もこの脇道は海沿いにしばらく続いて、走りやすい快適な道だった。

Photo, CLick to Expand
ロシア人上陸の地

 国道に戻って先へ進み、9時過ぎに安房小湊駅に着いてトイレ休憩。駅から少し戻って駅の上を越えるようにして県道285号線に入り、県民の森方面に向かっていく。まだ坂はそれほどきつくなく、ゆっくりと登っていく。途中で左手の林の中からガサガサっと音がしたのは、どうやら鹿がいたようである。県民の森入口には9:40ころ着いて小休止。
 ここから先は道幅も狭くなり、キャンプ場を通過すると奥谷林道へと入っていく。紅葉もちらほらと見られ、心なしか雲も薄くなって時々青空が垣間見られるような天気で楽しく進んでいくが、途中で一部13%程度の急勾配箇所もあった。ウール地のシャツで厚着していた吉岡さんはオーバーヒートで大汗、途中で脱いで短パン姿になる。

Photo, CLick to Expand  Photo, CLick to Expand
奥谷林道で小休止中

 麻綿原(まめんばら)高原に入るとアジサイ群生地帯となり、今の時期は当然ながら花の残骸だけが残っているが、開花の季節ならかなり見ごたえある所のようだ。天拝園と呼ばれる妙法生寺境内がアジサイ群の中心で、現在約2万株の大群生となっている、とのこと。僕らはこの最高所にある六角堂からの展望をしばし楽しんだ。

Photo, CLick to Expand  Photo, CLick to Expand
六角堂からの展望 | 有難いお坊さん

 ここからは快適な下り中心の道。養老川に向かわず国道465号の筒森に向かう分岐をしっかりグーグルでチェックし、11時10分に国道465号に出てきた。筒森からは、Gokiさんが「ガーミンではなぜかトレース出来なかったけど、ほんとはこっちを通りたいんだ」という、夕木川沿いの道を目指すことにした。また道を確認しながら入っていこうとすると向こうから軽トラックが走ってきて、「こっちは通行止めだよ」と声掛けしてくれた。が、皆さんで思案の結果、まだ午前中で元気もあるので「だめなら戻ればいいんじゃない」という感じで進んでみることになる。
 そこからはけっこうガンガン下ったので、もう今更戻るはめになるのはいやだなあ、と思ったころに通行止めの看板が出てきたが、自転車の通行は可能なので更に進むと、地層があらわになった岩盤に素晴らしい素掘りのトンネルが現れた。いやあこれはすごい!と感動して、写真をたくさん撮って更に進む。しばらく行くと道半分が崩落した箇所が現れて、これによる車両通行止めなのだなと分かる。僕らはここを押して通過し、更に何か所かの素掘りトンネルと落ち葉に埋もれた快適な道を存分に楽しむことが出来た。これは素晴らしいコース選定だなあ、とGokiさんのルート選びのこだわりに感心した。

Photo, CLick to Expand  Photo, CLick to Expand
地層が露わな素掘りトンネル
Photo, CLick to Expand  Photo, CLick to Expand
崩落箇所 | 落ち葉と素掘りトンネル

 奥養老という辺りまで来ると、キャンプの人などが歩いているのがちらほらと出てきて、やがて中瀬遊歩道入口(弘文洞跡への入口)に到着する。ここは多くの人が訪れている観光地のようなので、僕らもマスクをして歩いて行ってみる。ここは明治初期に耕地開拓を目的とした川廻しのため作られた隧道跡とのことで、1979年に上部が崩落してしまったそうだが、往時の写真が看板に貼られていて当時の様子を知ることが出来た。やはりここも紅葉はもう一声、という感じだが、川沿いを散策したり飛び石をつたって対岸に渡ったりの遊歩道はのんびりと楽しめるポイントだった。

Photo, CLick to Expand  Photo, CLick to Expand
弘文洞跡へ向かう中瀬遊歩道 | 綺麗な水中に削られた柔らかい地層面

 さてこの後は養老渓谷駅の周辺で食事できそうなところを探す、ということで再スタート。まず通ったトンネルが実は珍しい素掘り二層式トンネルだったそうなのだが、知らずに通過してしまって残念。トンネル内で上を見上げたり写真とったりしている人が多かったのはそういうわけだったのだ。県道81号に出てきてすぐのレストランは貸し切り中で、そこから先には宿が何軒かあるもののお食事処がなかなか見つからない。しばし進んで、左手に観光ポイントの「観音橋」があったが心は昼食に向かっているので立ち寄らず、その先の右手に見えた食堂らしきものに一路向かっていくと、それは「大新」という名の食堂だった。お店見つかって良かったーと思っていたらちょうどお昼時なのでどんどん人がやってくる気配だったが、いち早く浦野さんが順番待ちリストに記名してくれたおかげで待たずにすんなり入れた。
 入口でまず注文して、奥の大広間に案内される。けっこう混んでるかと思ったけど、割とすぐ注文の品が運ばれてきた。麦とろ定食をゆっくり食べて、店を出るころには更に混みあってきて入店待ちの人も増えていたので、その前に食事を済ませることができたのはラッキーだった。あと、食事中に消防車が何台か観音橋の辺りに来ていて、お店を出た時もまだ何かドヤドヤとやっていたが、何が有ったのかは分からなかった。

*大福山〜チバニアン〜柿木台トンネル
 一時ころお店を出発し、この後は「軽食喫茶ふじ」の脇の小道から白鳥橋という小橋を渡って大福山方面に向かっていく。けっこうな山道なのだが徒歩で巡っている人達もたくさんいて、大福山展望台の近辺まで歩行者がいたのは驚いた。
 大福山は、Gokiさんによると過去のランでも来たことがある、とのこと。展望台は鉄骨もだいぶ錆びて老朽化しているようだ。曇っていることもあって展望はそれほどでもない感じ。Gokiさんはしきりと「こんなんだったかなあ?」と首を傾げていたのだが、後から調べると、この展望台とは少し違う所で休憩したとのことだ。

Photo, CLick to Expand
大福山への上り

 大福山を下った後は、当初計画には入っていなかった、通称「チバニアン」(養老川流域の地磁気逆転地層)の見学に向かう。月崎駅に何か情報あるかも?と立ち寄ってみると、思った通り駅前には幟を立てて説明員らしき人がいる。と思ったら、これはチバニアンの説明員ではなくて、「房総里山芸術祭 ICHIHARA ART MIX 2020+」というアートイベントの説明員だった。月崎駅を過ぎて県道172号を少し戻る感じで見学ポイントに向かっていく。
 そもそも「チバニアン」というのは、77.4万年前~12.9万年前の期間の時代の名前(地質年代区分)なのだそうだが、実際には道沿いに立つ案内看板に「チバニアン↑」などと表記されていて、この時代の地層(地磁気逆転地層)を見られる見学場所が「チバニアン」という名の観光地もどきになっている。地元としてはチバニアンで地域おこし!を狙っているのかと思うが、実際なかなか好奇心をそそられる内容だとは思うが、観光地にするにはやや微妙か。とはいえ僕ら一行は、昨晩の夕食後の話の種にもなってそれなりに興味を持っていたし、ビジターセンターで情報を得たのちに川へ降りて現地での専門家による説明も興味深く聞いて、けっこう楽しんだ。ビジターセンター前に戻って、浦野さんはソフトクリームを食べるかな?と思ったが、ここのソフトクリームはお眼鏡にかなわなかったようだ。

Photo, CLick to Expand  Photo, CLick to Expand
露頭のある養老川の河原 | チバニアンを含む露頭(ガイド説明中)

 さてここからは当初計画のルートに戻る。県道172号線に沿って月崎駅方面に左折して、永昌寺トンネルというのが右手にあるよ、とGokiさんから聞いていたので右側に注意しながらゆっくりと駅方面に進んでいく。すると右手の少し奥まったところに、遊歩道のように細くて背の低い(ちょっと不気味な感じの)トンネルが見えたけど、さすがにこれは違うよねと思って通り過ぎかけたが、でももしかして、まさかこれじゃないですよね?と思いつつ近寄ってみると、果たしてこれが永昌寺トンネルだった。15時過ぎの薄暮の雰囲気も相まって、えっこれ行くんですか・・・と躊躇してしまうような、なんとも不思議な雰囲気のトンネルだ。将棋の駒のような五角形の形状(観音掘りというらしい)、ゴツゴツとした岩肌、車一台ギリギリ?程度の細さ、所々に設置された蛍光灯が怪しく光るこのトンネルは、明治31年に造られた素掘りトンネル。一人ではちょっと怖くて通れないような雰囲気だが、5人いるので皆で面白がって走れる。

Photo, CLick to Expand
永昌寺トンネル

 異空間に導かれるようなこのトンネルを抜けて森の中を進んでいくと、今度は入口の周りに草木が生い茂った感じの柿木台第二トンネルに吸い込まれていき、更にすすむと、もう一度観音掘りの柿木台第一トンネルが現れる。めったに味わえないようなドキドキ感を堪能しつつ、2km足らずで県道160号線に合流すると開けた感じになって現世に戻りホッとする。
 県道160号を西に2kmほど進んで今度は右手に音信山林道へ入り、圏央道の山口トンネルの上を通る最後の登りへ向かっていく。この辺りは産廃処分場や関連会社がちらほらして、先ほどまでとはずいぶん違う俗な感じのエリアである。山口トンネル上のピークを越えたら後は下りのみ、先頭をGokiさんがぐいぐい漕いで引っ張る後を、遅れないように最後の力を振り絞るようにして追いかける。馬来田駅には16時20分頃、暗くなる直前に到着!
 木造の駅舎にレトロな駅看板があって、ああ今もこんな懐かしい感じの駅があるんだな、と嬉しくなるような駅にゴール。皆で記念写真を撮ったら、宮村さんと浦野さんは車をデポした道の駅「木更津うまくたの里」へ向かいお別れ。残った三人で輪行しているうちに辺りはすっかり日が落ちて、17時発の久留里線木更津行きで帰路についた。

Photo, CLick to Expand
馬来田駅に到着

 無人駅なので電車の中で車掌さんから切符を買うのだが、Gokiさんが「御殿場まで」というと、そんな遠方まで切符を発行するのが初めてだという車掌さんは次の駅に到着するまでに手続きを終えられず、いったん車掌室に戻ってドア開閉その他の業務をやって発車してからまた戻ってきて、ようやく切符発行が完了した。

【Gコメント】天気はすっきりしなかったが、一日中低山の(舗装)林道の走りを楽しめた。下りも楽しいが、下りの勢いで上るのも楽しい。印象に残ったのは、やはり特徴的なトンネルのある道だった。筒森から養老渓谷への道、月崎から柿木台への道。予定外のチバニアンに寄って時間ギリギリになったが、日没前に馬来田に到着できた。体力を使い切って楽しめて、とてもハッピー。

【宮村コメント】良かったこと:通行や川廻し用の様々な素掘りトンネルに出会えた。貴重なチバニアン。残念だったこと:道の駅店舗が5時閉店を知らずお土産を逃した。

【浦野コメント】開花時には一面のアジサイが見事であろう麻綿原高原・妙法生寺周辺や、地層も露わな素掘りトンネルが連続する養老渓谷・弘文洞跡までの道など、自分では計画しない(できない)マニアックなコース取りが印象的な一日だった。養老渓谷でタイミングよく食堂に入れたのはラッキーで、旬には少し早いと思われたワカサギ定食もボリュームは満点。両日とも昼食の選択は正解だった。馬来田駅で解散後は10分弱で道の駅に到着、ぎりぎりナイトランを回避できた。宮村さんに挨拶後、閉店間際の物産店で自宅用の野菜を大量に買い込み出発。途中降られた雨も自宅到着の21時過ぎにはほぼ止んでいて、天候にも味方された2日間だった。

【吉岡コメント】初日に続いて登坂を堪能、ようやく上り坂の走り方を思い出してきました。昨日の厚着を反省して、薄着くらいが丁度良い。ようやく温度調節の感覚がわかってきた。手掘りのトンネル、養老渓谷、地層、断層、チバニアンと観光も楽しみつつ、ほとんど車を気にしないで走ることができるコースは素晴らしかったです。輪行で1時間ちょっと、午後7時過ぎには帰宅できました。もっと房総のルートを開拓したいなと思ったランでした。


<おわりに>
 「東京からすぐ近くの、暖かい房総」というイメージだけで出かけましたが、走り終わってみると、こんなにユニークなサイクリングが出来る魅力的なエリアだったんだ、と再発見して嬉しくなりました。特にあの素掘りトンネルを通り抜けるときの独特な感覚は、なかなか他では味わえない楽しさで、加えて民宿や定食屋さんなどの懐かしさを感じるような温かい雰囲気もまたすてきでした。様々な切り口で楽しみを与えてくれる房総をまた走ってみたい、と感じた印象的なランでした。


関連リンク:
 1997年 房総
 1992年 養老渓谷
 1992年 南房総