ショートレポート: 冬ラン 子の権現

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子の権現直前の激坂
by DAZ(投稿日:6 Mar 2022)

Map, Click to Expand 日程:2022/2/26(土)
参加:G(計画)、宮村、浦野、DAZ
コース:=拝島駅→子の権現→拝島駅= (83km - 8.8h)

 ツーリング記録 参照
メモ:
 振り返れば2021年の年末、12月28日に、Gokiさんから年末の挨拶も兼ねてメールが来た。その中で「1月、寒さにも慣れた頃に、あまり高くないところを走りに行きませんか」とのお誘いと、合わせて「走り初めに子の権現とかもありかも。」との言葉が記されていた。
 年が明け、1月15日付けで冬ランのお誘いメールとして、「新年一発目のランとして、懐かしの子の権現へ行きたいと思います」「日程は1月29日もしくは30日」とのご提案。この時は天気予報その他をにらみつつ、最終的には、季節ものの蝋梅を取り入れた尺里峠ランに変更となり実施された。
 次は2月3日付けで、「日時:2月11日 コース:子の権現」の提案が。しかしこの時は、ラン前日の2月10日に降雪の予報が出ていたことから、雪の影響が少ないと考えられる三浦半島・房総ランに変更して実施された。
 そして、2月16日付けで、「2月26日または27日 コース:子の権現」の再々提案が。今度は週末に向けて天気も良く気温もぐっと上昇するとの予報で、ついに子の権現ランが実現の運びとなった。


1日目:2/26(土)
コース:=拝島駅→まいまいず井戸→羽村の堰→梅ヶ谷峠→梅の公園→軍畑→榎木峠→松の木トンネル→小沢トンネル→上名栗→天目指峠→子の権現→倉掛峠→飯能→飯能街道→江戸街道→拝島駅=
参加:G(計画)、宮村、浦野、DAZ
天気:晴れ
距離:83.15km
獲得標高:1382m
走行時間:8h49min

*出発まで
 集合地はJR拝島駅、9時出発の予定である。拝島駅で2階の改札口を出て南口方向へ向かうと、突き当りの壁面が大きな窓になっており、雪を被った富士山が良く見えて素晴らしいロケーションだ。ダズは8時22分着の予定だったのだが武蔵野線が一時停止したせいで乗り換えがずれてしまい、8時37分に到着した。南口の階段を降りるともう皆さん出発準備が完了した状態だったので、急いで組み立てと買い出しを済ませる。外は快晴で気温もこれまでの冬ランに比べるとだいぶ暖かそう。出発写真に富士山を入れられると良かったのだけど、逆光なのと、ここからだと意外と小さくしか映らないよね、ということで普通に駅をバックに写真を撮って、予定通り9時にはスタート!

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正面に富士山 | 拝島駅を出発

*梅の公園まで
 まずは五日市線熊川駅まで山王橋通りを辿り、奥多摩街道(県道29号)に入ってからは玉川上水に沿うようにして北西に進む。羽村駅近くまで来たら、いったん青梅線の線路を越えて北側に渡り、本日最初の立ち寄りポイント「まいまいず井戸」に向かう。これは昨年11月のブラタモリで取り上げられていたということで今回のコースに組み入れられた。筒状井戸を深く掘削する技術の無かった時代に、まず地表から半径16mのすり鉢状に窪地を作り、その底から更に深さ5.9mの井戸を掘ったもので、鎌倉時代の創建と推定されている、とのこと。地表から井戸に向かって窪地を降りていく通路がらせん状でカタツムリのようなので、この名前になっている。
 すり鉢の底を見学したら、誰からともなく「すり鉢の上から写真撮ってほしいなあ」との声が上がり、リクエストに応えて宮村さんが上に上がる。カメラを構える宮村さんに「もうちょっとこっちの方から」とかあれこれ頼んでしまい、スミマセン。
 ここでしばしスマホ写真談義。機種によって露出や色合いが異なるので、Gokiさんはホームページに載せるときにも場面ごとに「ここは明るめの写真が欲しいな」という時は誰の写真、とか色々考えて選定している、とのことで、そのこだわりぶりに一同感心する。

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まいまいず井戸

 次は第二の観光ポイント「羽村取水堰」に向かう。これも同じくブラタモリで取り上げられていた場所とのこと。主な構造体は明治時代の改修でコンクリート造となってはいるが、投渡堰には今も木材が用いられている。これは大雨で多摩川の増水が有った場合には自然に外れて濁流を本流に流すことが出来る、とのことで、現代の西洋由来の技術にはない発想で作られているのがポイントだ、とGokiさん宮村さんからレクチャーを受ける。同様の思想が、アフガニスタンでの中村哲さんによる施設にも生かされている、という話にも興味をそそられた。

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羽村取水堰 | 玉川上水説明板

 さて二つの観光ポイントで出発からの一時間を費やしたので、ここからは少し走りを進めないと、ということで10時過ぎに再出発。永田橋通り(県道165、184号)を西に進み、日の出町役場を過ぎてから県道251号に入って梅ケ谷峠(310m)をサクッと越えて、降りたところにある「青梅市梅の公園」に向かう。周辺には梅まつりの幟が立っているのだが、11時10分ころ公園東口に到着してみると、残念ながら時期がまだちょっと早かったみたい。梅の木には小さなつぼみがチラホラあるかな、くらいで、色づいて見える木はほとんど見当たらない感じ。ポスターによると2月19日~3月21日が「吉野梅郷 梅まつり」ということになっているのだけど・・・まあ仕方ないのでここはトイレ休憩だけ。でもここで梅がきれいに咲いていたらまた時間を費やしてしまうところだったから、むしろ良かったよね、ということで、軽く補給食を採って10分程度の滞在で速やかに出発する。ちなみにここは平成26年5月にウイルス感染によって梅の木を全伐採したあと、平成28年から再植栽を開始して現在に至っている、とのこと。

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梅ヶ谷峠 | 梅の公園(東口)

*上名栗でのお昼まで
 県道45号線に入って軍畑方面へ進んでいくと、左手に「吉川英治記念館」というのが現れて、ムムッと注目しつつも脚を止めずに通過する。後ろからGokiさんが「やっぱり注目した? ツアーだったら、立ち寄るかもしれないところだよねぇ」と声がかかる。まあ今回は、先の行程も詰まっているし、ちょっと仕方ないところだろう。
 軍畑大橋で多摩川を渡り、国道411号を駅前で横切って県道193号線に入ったら急勾配の登りとなり、皆さんにどんどん抜き去られて着いていけず遅れをとる。2週間前の三浦半島・房総ランをドタキャンして、のんびり過ごしちゃったからかなぁ~と思いながら懸命に登り、110mほどアップしたらそこは榎木峠という名前のある峠だった。小休止してから下り、松の木通りからまた小さな登りで松の木トンネル、さらに小沢トンネルを越えたら埼玉県に入り、140mほど一気に下った。入間川沿いに県道53号を北上し、いくつか蕎麦屋など食事ポイントはあったがスルーして進んでいき、南川上名栗線(県道395号)に入ってもうお店など無さそうな山中の雰囲気になったころ、本日のお昼ポイントとしてGokiさんが目星をつけていた「名栗の杜 喫茶&ギャラリー」が姿を現した。

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榎木峠 | 鳥居観音が上に(名栗)

<お昼ポイント 名栗の杜>
 期待通り「OPEN」の札が出ていたので入ってみると、中は木造の暖かな雰囲気でとても広く、様々な作家さんの芸術作品が展示されている。薪ストーブのそばの、川が望める窓辺の席に案内され、ひとまず落ち着いた。まずはお食事を注文、Gokiさん宮村さんダズは、野菜カレーのセット、浦野さんは鴨肉ハンバーグのセットを選んだ。暖かい店内で気持ちもゆったりと和み、カメラを向けると宮村さんは北京オリンピックで活躍したロコソラーレの影響で? ハートマークのサイン(今回のマイブームでしょうか?)。店内には心地よいチェロのBGMが流れていて、これは木質を活かした大きなキャビネットのスピーカーから出ているんだ、ほぉ~すごいスピーカーだなぁと目を引かれる。周囲がだんだん見えてくるに従い、内装や展示物にはどれもこだわりが詰まっていそうな感じで、まずは浦野さんが先頭を切って店内の探索に向かう。道路沿いの表側からは分からなかったが上下方向にも4段構造くらいになっていて、階下へ降りていくとどのフロアも凝った内装と作品展示があり、一番下のフロアからは川べりに出られるようになっているようだ。
 運ばれてきたお食事は、見栄えもきれいで器も素敵、もちろん味の方も、カレーもごはんもこだわりが詰まった感じでとても美味しく頂いた。食後のコーヒーも含めて大満足。

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「名栗の杜」で

*子の権現まで
 さて楽しい昼食を終えて外に出ると、変わらず快晴で日差しも暖かい。13時半ころ午後の部をスタートする。ここからが今回のランとしてはメインディッシュの区間だ。まずはここから約2kmで200mアップの天目指峠(あまめざすとうげ)に向かう。この峠は後からネットで確認したところ標高475mが正解だったのだが、ツーリングマップルでは590mと記載されていたため、約300mアップと思いこんでいた。「名栗の杜」から先行してスタートしたので最初は前を走っていたのだが、そろそろピーク近いんじゃない?とGokiさんがペースアップして、「ついていかないの?」と浦野さんに聞かれたけど実のところ目一杯でついていけず、また皆さんにどんどん抜かれて、姿が見えなくなりそうになりながら登っていくと、思ったよりも早く峠が現れてほっとした。ガーミンの標高表示が490mだったのでずいぶん誤差大きいな?と思ったけど、ガーミンは間違ってなくてツーリングマップルの記載が間違っていたんですねぇ。

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天目指峠 | 子の権現への分岐 

 さて天目指峠からいったん200m近く下ったら、今度は子の権現への分岐が現れ、ここから約3kmで300mアップである。谷側の道端にしゃがんでいるおじさんがいて、よく見ると猟銃を持っていた。もしかして、熊?と思い、上の方からは猟犬の吠える声も聞こえてきて、獲物を追い込んでいるのかな、でも上から熊が降りてきたら困るよねぇ、などと話しつつ登っていく。しばらく進んでいくと下の方から銃声も聞こえてきて、微妙に怖かった。このあともう一人仲間と思われるおじさんがいて、宮村さんが尋ねてみたところ、熊ではなく鹿を撃っているということだったそうだ。だんだん登っていくに従い、二週間前に降ったと思われる残雪も道端にちらほらと現れてくる。1km毎に看板が有ったので励みになったが、最後の1kmは勾配が一段ときつくなったように感じた。この登りでも最後尾を走って、スリップ防止の溝を刻んだ路面を喘ぎながら進み、ほぼ最高地点の眺めの良い所で皆さんが待っていてくれたのでここで一息ついて写真を撮ったりしてから、15時少し前、標高640mの「子の権現天龍寺」に向かう。

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子の権現直前の激坂 | 吾野方面の展望

 立派な二本杉の横から伸びる参道を、自転車を押して進み、山門をくぐって、青色と黄色で妙に原色鮮やかな仁王像2体の間も通って、こんなところまで自転車入れちゃって良いのかな?と思ったけど、本坊の前に木製のバイクラックが有ったので、あぁ大丈夫なんだ、と安心してここに自転車を停めた。さらに石段を上がって本堂手前にも、似たような竹製の門型が有ったのは、あとで公式サイトを見るとこれもバイクラックだそうだ。なんでも子の権現は足腰守護の神様とのことで登山者やトレイルランニング愛好者、スポーツ関係者のみならず、自転車乗りも年中沢山来るとのことで、このような設備まで設置されているお寺があるとは有り難いことである。さて僕らも本殿でお参りし、宮村さんは更にお線香もお供えして、足腰の健康を祈願したので今年のランの安全も子の権現様のお墨付きとなった。
 更に奥の院へ登る山道があり、数分登ると最高点には鐘楼がある。Gokiさんは25年くらい前?に来た時を思い出しつつ、もっとここが広くてこんな感じで・・・と、当時の記憶との照合をしつつ鐘を撞いた。鐘楼からちょっと下がったところには「東京スカイツリー眺望処」があるが、今日は少し空がかすんで、晴天ではあるもののスカイツリーまでは見えなかった。

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仁王像を過ぎてバイク駐車 | 本堂でお参り
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鐘を撞き、音に聞き入る | スカイツリーは見えない?

*拝島駅まで
 さてこの後はゆっくりと戻る。宮村さんは恒例の御朱印もゲットして、参道入口まで戻ったら、15時半ころからいよいよ下山開始。南側もコンクリート舗装にスリップ防止の溝付き路面で、こちら側の方がより急勾配に思える。300m以上一気に下って、後は県道70号線に入って飯能へ向かい、16時15分頃に飯能駅近くまで到着。
 今回のランは、計画の初期段階では飯能で終了という案だったが、最終的にはスタート地点の拝島まで走って戻るプランに変更となっているので、ここでは特に休憩をせず、残りの区間約20kmに向かって行く。
 後はほぼ平地のコース、とはいうものの、市街地に近くなって交通量が多くなってきているのでけっこう神経を使う。Gokiさんが先導してくれる後ろを遅れないように着いていくのだが、だんだん疲れて力が入らなくなってきた。「どこかで休憩しようか?」とGokiさんが声をかけてくれたので「休憩しましょう~」と答えて、良かった~と思ったが、どうもなかなか良いポイントが無くて、コンビニが有ったら・・・とはいうものの全然無さそうな道が続き、もう限界、どこでも良いから止まって休みたい、と思った頃に、工業地帯の一角にセブンイレブンの看板が見えているのを浦野さんが発見して声を出し、ようやく休憩が出来ることとなった。
 ここで16時50分、夕暮れのコンビニ横でおにぎりとジャムパンとコーヒーとチョコレートを補給したら、すごく元気が出て、残り10kmを走る力が回復してきた。Gokiさんいわく、もう少ししたらGWのツアーもあるし、ツアーの途中にはどうしても消化コースを頑張って走らないといけない日もあるから、ここで予行演習しとくのも良いと思ってこのコース設定にしたのだ、とのこと。うーん有難い親心!と、皆でガハハと笑いあって、気持ちもゆとりを取り戻した。

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やっとのコンビニ休憩で復活

 あとは日暮れに備えてライトを点灯しながら、見違えるように軽くなったペダリングで横田基地の東側を回るようにして拝島へ向かう。駅に近づくに従って渋滞した車列が続くようになったが、18時少し前に、拝島駅北口に無事に到着。 浦野さんは南口側に車をデポしているので、反対側へ行きたいが、西武線も有ったりしてなかなか線路を渡るのが大変なので、ここから自転車ごとエレベータで上がってコンコースを渡り、南口へ向かうことに。地元の人もそのようにしているみたいなので、問題なさそう。日も暮れたことだし全員の到着写真は無しで、これにて本日のランは終了~。

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夕暮れに拝島駅到着

【Gコメント】子ノ権現周辺を走るのは実に25年振り。やはり、この地域は、車が少なく、走りごたえのある坂が多いので、楽しかった。梅の開花がまだだったのはちょっと残念。また最後の消化コース部分で、休憩場所の事前チェックを怠っていた点を反省した。

【宮村コメント】良かったこと:羽村で江戸時代(もっと昔含め)の高度な水利技術を堪能できた。ランチした「名栗の杜」が趣にあふれていた。天目指峠が、途中まで話ながら走ったので思ったより楽だった。足腰の神仏「子の権現」にお参りし御朱印をもらえた(スカイツリーは霞で見えなかったが)。拝島へ向かう途中、茶畑(狭山茶)を通過できた。萎えたこと:「子の権現」まで残り1km標識後の急坂。印象的だったこと:名栗あたりの山頂に見えた巨大観音像。

【浦野コメント】ここ数ヶ月、話には出るも実現していなかった子の権現ラン。まいまいず井戸、羽村取水堰、梅祭り(時期が早すぎたけど)と前半に観光スポットが多かった。昼食を摂った名栗の杜は木の温もりが感じられるカフェレストランで、オーナーのこだわりが詰まった素敵な場所だった。子の権現の坂には閉口したが、最後に宮村さんのカメラを意識して転倒してしまったのが悔やまれる。飯能から拝島までは幹線道路を避けつつも疲れが倍増するコースだった。


関連リンク:
 1997年 子の権現