2022奥久慈ラン レポート

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男体山の大岩壁をバックに@奥久慈パノラマライン
by DAZ(投稿日: 23 Nov 2022)

Map, Click to Expand 日程:2022/11/19(土)~ 11/20(日)
参加:G(計画)、宮村、DAZ
コース:=友部→大子→日立=

 ツーリング記録 参照
<はじめに>
 10月下旬に入り、Gokiさんから「11月走りませんか」とのメールが届いた。「そろそろ近場にも紅葉が降りてくる時期になります。」ということで、この時点では行先はいくつかの案が挙げられていたが、その後の検討により茨城県の奥久慈方面で一泊または日帰りのランを行うという企画になった。参加表明したメンバの都合等を勘案し、11月19~20日の一泊ランという方向となる。
 11月14日(月)時点での天気予報で、19日は晴れ、20日は曇、ということで、一泊での実施を確定。17日(木)時点では、20日の予報が「曇りのち雨」となったため、二日目午後のコースは天気を見ながら臨機応変に、ショートカットも考慮するということで出発の日を迎えた。


Map, Click to Expand 1日目:11/19(土) =友部→笠間神社→御前山→美和→烏帽子掛峠→鷲子神社→境明神峠→大子(91km/1318m) 晴れ
 メンバ:G、宮村、DAZ

*まずは笠間神社の観光(ゆっくりしすぎ?)
 集合地はJR常磐線の友部駅、9時半出発の予定である。3人とも8:37友部着の特急ひたち(全席指定)に乗る予定で、ダズは上野駅から乗車した。ホームにある特急券売機で適当に指定を取って、乗ってみると偶然にも宮村さんと通路を挟んでお隣の席だった。車内からも秋晴れの空がきれいで、久しぶりのランに期待が膨らむ。予定通り8:37に友部駅に到着し、Gokiさんとも合流。北口で組み立てて9:25に出発する。
 まずは紅葉していると思われる北山公園を経由して笠間稲荷神社に向かっていく。走り出して1kmも進むと車も通らない静かな道になり、周囲の木々も紅葉しているし何より久しぶりのランでうれしくて、さっそくおしゃべりを開始する。ここ数か月、いろいろ検討した自転車購入の話を夢中でしていたら、北山公園を横切って北西へ向かう予定ルートの分岐を見落としてしまい、1km弱行き過ぎてしまってから戻ることに。北山公園内は、紅葉のピークを過ぎていたがそれはそれで秋らしくていい感じだ。公園では脚を止めることなく先へ進み、笠間稲荷神社に向かう道でもう一度分岐を過ぎてしまったが今度はすぐ気づいて復帰し、笠間稲荷の門前通りまで来る。

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友部駅を出発

 ちょうど今、「笠間の菊まつり」の期間中とのことで(今年の菊祭り期間は10月22日~11月23日)、門前通りの東端にある「かさま歴史交流館 井筒屋」が菊の飾りで彩られているのに目を引かれ、自転車を停めて写真を撮る。ここから門前通り一帯、そして笠間稲荷神社の境内は菊の飾りで埋め尽くされていた。「笠間の菊まつり」は明治41年に始まる日本最古の菊の祭典とのことで、今年は第115回目だそうだ。

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笠間菊まつり | 笠間神社

 門前通りは商店がびっしり立ち並び、しかも観光バスの団体客も来ていてかなりの人出だ。自転車を停められるところ有るかな…と思っていたら、案内スタッフらしき人が「神社の境内に駐輪できますよ」と教えてくれたので、自転車を押して参道に入ると、確かに石材で出来たごつい自転車スタンドが有って、ここに自転車を停める。笠間稲荷神社は日本三大稲荷の一つだそうで、西暦651年創建で1370年もの歴史がある由緒ある神社とのこと。神社めぐりのWEBサイトによれば見逃せない見所、パワースポットが満載らしいのだが、このときはとにかく菊の飾りが前面に出ていた。宮村さんが恒例の御朱印を依頼すると、5分くらい待つとのことなので、Gokiさんとダズは先に門前通りに出て名物の稲荷寿司等を購入することにした。2軒ほど冷やかして、Gokiさんは「花だんご」、ダズは「ミックスいなり」を購入。門前通りを散策しているとほどなく宮村さんも出てきて、同じく「ミックスいなり」を購入し、参道を戻って楼門の前にある休み処でさっそく味わう。すぐそばでは猿回しの演芸をやっていたりして、のんびり観光ムードを満喫した。序盤からいきなり40分程度の大休止となったが、10時40分ころからサイクリング再スタートとなる。

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門前通りの店 | 休み処で

*トレーニングには良いけれど(止まらなさすぎ!)
 国道50号を横切って県道39号に入ったら、かつてのGokiさんトレーニングコースということで、交通量極小、人家もまばらなアップダウンのルートで、トレーニングにはぴったりの道となる。最初にビーフラインと交差した辺りはまだ大丈夫だったが、そこから100mアップ、50mアップ、100mアップ、と繰り返す間に早くも腿が攣り始め、写真を撮る余裕もなくひたすら走った。次に記憶があるのはちょうど正午ころ、国道123号線に下りる前のピーク(標高240mくらい)辺りにあった岩谷山仏国寺の看板をちょっと読んで、その先の下り(190mダウン)に入るときにGokiさんが「この下りはちょっと道が荒れているよ」と教えてくれたことくらい。

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山中の仏国寺入口(G記:休んで見に行けば良かった)

 あとは那珂川を渡るところで、那珂川ですねぇ~と短く会話したことは覚えている。その先また登りに入って脚攣りに難儀していたら、宮村さんが「水飲んだほうがいいよ」と言ってくれてその通りにすると、たしかに攣りは改善したので、水分補給の大切さを実感した。那珂川から100mアップしたところは堂山峠という名前のある峠で看板も有ったので、12:40ようやくそこで短く写真休憩する。お昼を過ぎているので少し食料補給もした。

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短い激坂に続いて堂山峠の上り | 堂山峠でやっと休憩

 その先でいったん県道39号から離れ、次の観光ポイントである「風車の弥七の墓」へ向かう。13時少し前に到着すると、軽トラックの中からおじさんが「寄っていがねぇが」とかいう感じで声をかけてきたのだが、なまりと大声のせいで、何か怒られたのかと思ったが、ただ声をかけてくれただけだった。ここ立ち寄るか、どうする?としばし思案するが、だいぶ予定より時間が押しているので、ここは寄らないこととした。人懐っこい犬がいて、しっぽを振っておやつをねだる風だったが、写真を撮るだけで速やかに再スタート。

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パスした弥七の墓で、人懐っこい犬

 ここからの50mアップではもう両腿がつってしまって困ったが、水分を採りながらだましだまし走る。国道293号に入ると勾配はやや緩くなるので花立トンネルまでの100mアップをどうにか乗り切り、下ったところの「美和亭」で13時半にようやく昼食休憩となる。宮村さんがニラレバ定食、Gokiさんとダズは唐揚げ定食。余談だが「けんちん汁」の名前の由来を宮村さんから教えてもらった。食事は十分なボリュームが有って、ようやく和やかな休憩タイムのひと時をゆったりと小一時間過ごした。

*鷲子神社までには難所あり
 昼食を終えて14時20分ころから午後の部をスタート。今度は県道234号に入って茨城栃木県境の烏帽子掛峠(標高370m)まで、180mほどのアップだ。これもまた、ひたすら走ってほとんど記憶が無いのだが、途中2回ほど特に急勾配の箇所があり、上でお二人が待ってくれているのが見えてはいるのに一気に登り切れなくて途中で脚をついてしまう。9月中旬以降、腰痛とその後の再発の心配から2ヶ月近く全く運動していなかったので、脚力だけでなく心肺機能も相当落ちてしまっているようだ。喘ぎ喘ぎで2時50分ころ県境に到着。

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ピーク部が激坂の烏帽子掛峠、DAZは堪らず足を着く

 ここから標高80m分を気持ち良く下っていく途中、足元の方からコキーンという音が聞こえたような気がしたので、何か荷物を落としたかな?と思って走りながらサドルバッグの周りを見たけど異常ないようだったのでそのまま下り続けた。鷲子山上神社への分岐T字路に来たところで、何かカラカラ音がしているのに気づき、木の枝が絡まっているのかなと思ったら、何と後輪のスポーク1本が折れていた。ここまでの下りはそれほど荒れた道でも無かったし、何か衝撃がかかった瞬間に折れた感じでも無かったので、やはり長年の負荷が金属疲労として溜まっているのかな…と思われる。「こん中じゃ一番古い自転車だもんねぇ」とGokiさん。このパナソニックは、Gokiさんが数年使用したあとダズに譲って下さったのがもう27~28年前、それからダズがサイクリングのメインとして使用し始めてもう20年以上経っている。とりあえずこの場はGokiさんが応急処置として折れてフラフラしているスポークを上手く曲げて隣に絡め、走行に支障ない状態にしてくれた。15時少し前だがこの先の行程を考えると余裕は無いので、ここでの処置は数分で終了して速やかに再スタート。Gokiさんから「乗っていてホイールの振れは感じる?」と聞かれたので、特に感じないので大丈夫なようです、と答えたが、平静を装いつつも、疲労が破断の主因とすれば他のスポークも同様に寿命が近いことも考えられ、明日のゴールまで持ちこたえてくれるか不安も感じつつ走る。ここから鷲子神社まで3kmくらいだが、もう日暮れ近い雰囲気だ。神社が近づくにつれて勾配がきつくなって、あと参拝客の駐車や徒歩で神社に向かう人たちも見られるようになる。

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鷲子神社前の尾根に上がる最後の急坂

 鷲子山上神社では毎年11月の第三土曜日に「夜祭り」という開山以来の伝統があり、偶然にも今日がその日だったせいか家族連れの参拝客で賑わっている。17時からは紅葉のライトアップも行われるとのことだが、そこまでここにいるわけにもいかないので速やかに参拝する。創建は807年、千年杉をはじめとした老樹大木に囲まれて、本殿も歴史を感じさせる立派な造りで荘厳な雰囲気のある境内なのだけれど、祭神が天日鷲命という鳥の神であることからフクロウの神社といわれて、至る所にフクロウをモチーフとした新しい石像やらなんやらが設置されてポップな雰囲気の観光地になっているのがなんとも不思議な感じだ。宮村さんは恒例の御朱印を依頼し、待ち時間の間に売店でコーヒー休憩、たい焼きならぬフクロウ焼きをGokiさんが買ってシェアしてくれた。

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鷲子山上神社 新しい鳥居とフクロウの手水場
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鷲子山上神社 古い山門(G記:ここから先は以前の感じ)

 さてここで40分くらいの参拝と大休止を経て、16時くらいから下り始める。来た道を引き返すのだけど、だいぶ薄暗くなってきて最初の分岐で若干迷う。標高150mほど下って、スポークを処置した分岐まで戻ってきたところで、冷え込み対策としてウインドブレーカーの下に薄手のダウンジャケットを着込む。更に140m下ったところで国道461号に出る。ここからは本日最後の登り、4km・60mアップで境明神峠(210m)、峠から先はナイトランとなってライト点灯し、下りだが残り11kmは長かった。ツーリングマップには常陸大子駅の2kmくらい手前に「旧上岡小学校」という昭和初期の木造校舎(内部も見学可)というポイントが載っていたが当然ながらスルーして、駅から少し北上して本日のお宿「旅館本田屋」に到着したのは17時15分ころ。既に真っ暗だったが無事に到着できて本当にほっとした。

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宿に到着

 宿泊:旅館本田屋

 勝手口の前に木製のサイクルラックがあってそこに止めて良いということだったのだが、幅の広い角材だったのでサドルが上手くかからなくて、立てかける感じでとりあえず宿の中へ。晩御飯は19時からということで、まずはお風呂だ。浴槽にリンゴがたくさん浮かべてあった。お風呂の次は宿から徒歩1分のコインランドリーへ行って3人分全自動に放り込んでスタートし、戻ったら間もなく夕食の時間となる。大広間の椅子席で、9組くらいいたみたい。ご当地メニューとしては、こんにゃく刺と常陸牛のすき焼き、など。小さなリンゴが添えられていたのが良かった。

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夕食の乾杯

 晩御飯の後は部屋でお茶飲みながら、皆さんの近況や自転車乗るときの体重移動の話からトヨタ自動車の車の名前の話とか、取りとめのない話をしつつ10時頃には就寝~。

【宮村コメント】良かったこと;すじ雲が浮かぶ、空気が澄んだ秋晴れを満喫できた。笠間稲荷参拝の折り、味しいクルミ稲荷寿司を食せた。笠間稲荷と鷲子山上神社を参拝し達筆な御朱印いただけた。厳しかったこと;登り下りが多く勾配が厳しいコース(さすがかつてのGさん練習コース)。登り切るとすがすがしかったが。不思議だったこと;「鷲子」を「トリノコ」と読むこと。→この地域は天日鷲命を祀り地名が「鷲子」。また、ここ特産の高級和紙は、淡黄の色と滑らかな肌合がひな鳥を連想させ「鳥の子or鳥子紙(トリノコガミ)」と昔よばれていた。次第に交差し「鷲子」が「トリノコ」と呼ばれようになったらしい。「トリノコガミ」の記述が「鷲子紙」の場合も。鷲子山上神社にフクロウを飾っているのは、神聖な鳥の象徴がフクロウだからみたい。神聖な鳥に八咫烏(ヤタガラス)もいるが。また、この山にフクロウが多いとも言われているらしい。

【Gコメント】地元ひたちなかでの以前のトレーニングコースに少し色をつけてコースを作成した。笠間神社の後、遅い昼食まで、観光スポットが無かったのは申し訳なかった。せっかくだから、山中にあって以前から気になっていた仏国寺を見にいけば良かった。超久しぶりの鷲子神社は、賑やかしく変わっていてビックリした。以前は静かな古い神社で、フクロウ像なんて無かったのに。あとから聞いた話では、腰痛明けで久しぶりのDAZには全般的にきついコースだったようだ。


Map, Click to Expand 2日目:11/20(日) 大子→もみじ寺→袋田の滝→奥久慈パノラマライン→金砂郷→御岩神社→日立= (71km/1395m) 曇り時々晴れ
 メンバ:G、宮村、DAZ

*ゆっくり観光からハードなパノラマラインへ
 朝6時に目覚ましを鳴らし、実際には6時半ころ布団から出た。朝食は7時半。外で出発準備をしているとき、同宿だったバイクツーリングの5~6人のおじさんたちとお話をした。革張りのシートは座り心地良さそうとか、シートヒーターも付いているとか、あとヘルメットの中に無線機が仕込んであって、走りながら皆で話が出来る、というのは初めて知って面白かった。8時50分ころ宿前で写真を撮って、本日のスタートだ。
 まずは昨日夕方の予定だった永源寺もみじ寺へ向かう。ここはもみじ寺と名乗るだけあって、境内にはモミジがたくさん。ピークは少し過ぎたようだけど、最盛期にはそれは素晴らしいだろうな、というのが想像できる。駐車場の誘導係のおじさんは、「あと10日早くくればねぇ~」と言っていたが、いやいやどうして今日でも充分に美しい紅葉を堪能できた。朝イチだったのでまだ人出は少なかったけど、この日も沢山の観覧客が来たのではないだろうか。本殿では御朱印が受けられるようだったが、受付時間が10時から16時とのことで、今日は残念ながらまだ開いていない。宮村さんによると、だいたいどこでもこの時間帯になっているのだそうだ。

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もみじ寺

 さて次は二つ目の観光ポイント、袋田の滝へ向かう。途中の道の駅「奥久慈だいご」では、暴走族?のお兄さん達が大音量で昭和アイドル歌謡みたいのを流しながらちょうど到着したところだったので、僕らは危うきに近寄らず、でスルーして先へ進む。袋田の滝は2009年GWの最終日に来て以来で、あぁこういう道だったなぁ、と懐かしく思い出しながら走る。9時40分ころ到着し、入場券を買って長いトンネルを徒歩で登っていく。トンネルの中は光と音の癒し系アートで彩られていたのが以前とは変わって新しくなった点だ。また滝や岩肌の表面などにハート形を見つけると恋愛成就するとかで「恋人の聖地」にも選定されたらしい。僕らおじさん達3人はそれらも楽しんだけど、今回はむしろ、袋田の滝が形成された地学的解説や、これから向かう日立方面が2億5千万年~5億年前の岩石で形成されたエリアであるというブラタモリ的情報とか、第2観瀑台から左手奥にかろうじて見える「四度滝不動尊奥の院」が絶壁にへばりつくように建っているのを眺めて喜んでいたのが、以前と変わった点といえるだろう。もちろん、圧倒的な大岩壁の滝と、周辺の紅葉の美しさも堪能したのはいうまでもない。

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袋田の滝

 さて2か所の観光を終え、10時20分ころからサイクリングスタートだ。来た道を戻り国道461号に入るが、その手前でGokiさんがサドルの角度調整。昨日宿でサイクルラックに掛けるときに角度が狂ってしまったらしい。水平面で目視したいのだがこの辺は斜面続きで中々確認しずらく、乗ってみた感覚である程度合わせたところでとりあえず良しとする。国道を1kmほど進んだら、今回のハイライト「奥久慈パノラマライン」の入口に来る。ここはrinrinでは初出のルートとのことで、ダズの2018年ツーリングマップには表示されていない新しい林道であり、奥久慈男体山の西側を南北に走っている道だ。11時少し前、パノラマラインを走り始める。 

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パノラマラインの入口

 スタートからまず50mアップを過ぎたあと、ダズの変速機トラブルが発生する。ここ1年くらい、フロントギヤのインナー側にチェーンが落ちるのは頻繁に繰り返していたのと、更に最近はリヤ側の変速もスムーズに行かなくなっていたのだが、リヤのロー側にチェーンが落ちて挟まるのを2回繰り返したのを見て、Gokiさんが調整しようよ、と止まってみてくれた。…すると、驚きの事実が判明。「最近Rディレイラー外した?」とGokiさん。RディレイラーのBテンションボルトがエンド後方の爪に正しく掛かっておらず、ボルトが曲がってしまっているようだ、とのこと。恐らくは、ディレイラーを一度外して再取り付けする際に、テンションボルトを爪の後方に正しくセットせず爪の側面に当たった状態で締め込んでしまい、Bテンションボルトを曲げてしまったのだろう、と推定される。…自転車がまだ新しい初期のころ、飛行機輪行する際にディレイラーを外したことは何度もあるけど、最近はしなくなって久しいので、いったいいつからこの状態なのか全くわからない。何よりもそんなミスをしてしまったことと、それに気づかないまま相当な長期間ずっと乗り続けてきたことが我ながらショックだった。そしてロー側のアジャストネジは既に締めこんであるので、ロー側に落ちないようにディレイラーの取り付け自体をGokiさんが調整してくれて、トータル20分程度の停滞となった。フロント側は、長い下りの場面だけアウターに入れることにして、基本インナーのみで行こうとアドバイスを受け、再スタートする。走りながら、宮村さんは最近リヤに30Tをつけるのに伴ってディレイラーハンガーの延長アダプタをつけた、という話を伺い、ディレイラーのガイドプーリーの機能を教えてもらって、なるほどと思ったり、長年自転車乗ってるのに分かってないことを恥ずかしく思ったりしつつ、とりあえず変速の調子が良くなって、いったん下ったあとの230mアップを順調に登っていく。パノラマラインという割には展望が開けないねぇと話しつつ登り、標高300mを越えたあたりでようやく西側の眺望が広がって、11時40分ころ写真休憩。100mほど下ってくると今度は山側に、男体山の大岩壁を眺められるようになり、うんやっぱりパノラマラインだったねぇ!と眺望を楽しむ。

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最初に開けたところでパノラマ写真
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男体山の大岩壁、こっちが本当のパノラマ

*金砂蕎麦を求めてさらに先へ
 ここからもアップダウンを繰り返しつつ、12時40分ころ県道322号に合流、ここからは下り基調を選択し、当初計画とは変更して県道249号を諸沢川沿いに下り、13時ころ県道29号に出た。ここから80mくらいのアップを越えると昼食ポイントとして選定している金砂庵という蕎麦屋さんが待っている。茨城人気ブランドの「常陸秋そば」発祥の地がこの金砂地区だということで、地元の名物を食べられるのが楽しみだ。この蕎麦屋さんは「金砂の湯」という温泉施設の敷地内にあるということなので、金砂の湯を目指して進んで行くのだが、下りながら目に入った看板に「11月20日はマラソン大会のため金砂の湯は臨時休業」との文字があって、ふーむと思う。金砂の湯にたどり着くと、たしかに「西金砂登山マラソン」というのが開催されたようで、今は終了後の撤収作業中のようだった。敷地内に入っていくと、蕎麦屋「金砂庵」のちょっと渋い建物があるが、入り口は閉まっていて貼り紙があり、「金砂庵は、温泉施設建屋内に移転しました」と書いてある。これはもしかすると…と思いつつ温泉施設の建屋に向かうと、やはり温泉施設は閉館されていて、マラソン大会の撤収作業をしていた職員の人に聞くと、蕎麦屋さんもお休みだった~。がっかりしている僕らを見て気の毒に思った職員さんは、「もうちょっと先の分岐を2kmくらい登ると西金砂そばの郷というのがあって、そこに「そば工房」というお店があるから」と教えてくれて、わざわざ電話までかけてくれたところ、今日はもうラストオーダーだという返事だったようで、「そこを何とか、今から自転車3名行くから…」と交渉しようとしてくれたのを慌てて押しとどめ、丁重にお礼を言ってその場を辞去した。
 さてどうしようか…と考え、このまま東へ進んで県道36号と33号の交差地点辺りまで行けば、なんかお店くらいはありそうだということになり、ここで軽く補給とトイレタイム。ちょうど都合よくマラソン大会用の仮設トイレがまだ残されていたので利用させてもらって、13時半ころ再スタートだ。マラソン大会のスタートゲートを見ると、「第23回」と書いてあったので、けっこう歴史ある大会のようだ。ちなみに今回のランに出る直前の天気予報で日曜日は曇りのち雨だったため、天候によっては昼食後に西へ向かい、水郡線の山方宿駅でラン終了という可能性も考えられていたのだが、まだ天気も持ちそうだし計画通りのフルコースを走るということがこの時点で確定した。
 だいぶお腹も減っているし、名物の常陸秋そばを断念することになってテンション低めのスタートとなったのだが、2km弱進んだところで道沿いに「常陸秋そば」の幟が立っているのを発見。速度を緩めると、立っていたおじさん二人がにこやかに、「常陸秋そば食べていきませんか~」と声掛けしてくれるので、おっこれはと思って立ち止まり、「食べられるんですか?」「はいどうぞどうぞ、」ということで20~30mの脇道を登るとそこには金砂交流館という公民館的な建物があり、ここはお店ではないのだが、「いばらき蕎麦の会」の活動拠点であり今日は「常陸秋そばフェスティバル」というイベントが開催されていたのだった。なんとラッキー!いったん下がっていたテンションが爆上がりして、入り口食券売り場では奮発し「プレミアムもりそば、天ぷら、そばいなり、コーヒー」とフルコースで注文したGokiさんをまねて、ダズも同じ注文にした。気温が低いので宮村さんは温かさを求めてかけそばとし、他は同様にフルコースである。中で立ち働いているおじさん達は、みなプロの蕎麦屋さんではなくそば愛好家の方々で、張り切ってとても楽し気に作業しているのがこちらまで伝わってきて明るい気分にさせてくれる。嬉しくスイスイと食べてしまったが、Gokiさんによると「十割そばなのにこんなに滑らかな食べ応えはすごい」ということだった。天ぷらも、久慈川でとれた鮎とか地元のサツマイモや干芋なども入っていて茨城感が満載だった。あっという間に平らげてコーヒーを味わっていると、いばらき蕎麦の会の女性が「皆さんはマラソン大会に参加した方ですか」話しかけてきてくれたので、僕らは自転車ですと答えつつ、金砂庵からここまでの顛末を話して嬉しかった気持ちを伝えると、常陸秋そばにまつわるいろんなお話を聞かせてくれた。ここでは当初そば打ち講習会だけをやっていたが、常陸秋そばを存続させていくためにはそれだけでは足りず、現在は栽培から収穫までも含めて研修をやっていること、蕎麦打ち技術には段位があって、今日食べたプレミアムそばは名人がうったものだから素晴らしい食感に仕上がっていること、このそばフェスティバルはコロナ禍で休止していて3年ぶりの開催だったこと、などなど。楽しいお話を聞かせて頂き、素晴らしい出会いに感謝して、満ち足りた気分で14時15分ころ会場を出て午後の部を開始する。

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幸せの金砂蕎麦

*御岩神社のパワーをいただく
 県道36号が北に向かって曲がりながら130mアップ&ダウンして県道33号に交差したところで14時40分、また120mアップして少し下ると国道349号に出て、更に下って15時10分ころに国道から離れてまた県道36号線に入る。ここからは今日最後の登り、240mアップである。ピークの少し手前には、今回のラン最後の見所ポイント、御岩神社がある。御岩神社は日本最古の書物の一つ「常陸國風土記」にもその存在が記されている由緒ある神社だとのこと。更にWEB情報によれば日本屈指の最強パワースポットだそうで、宇宙飛行士が宇宙からその光を見て、位置を確認すると御岩神社の場所だった、とかいろんな話が書いてある。出発前に宮村さんからも「ぜひ寄りたい」との打診があった大事なポイントだ。御朱印受付が16時締切だとすると、トラブルなく進めば充分間に合いそうだ。そろそろ暗くなりかけた15時40分ころ入口に無事到着できたので、良かった、と思ったが、宮村さんは「ここはちょっと奥の手を使うしかなさそうだな。」とおっしゃったので、尋ねてみると、御朱印とは本来はお参りを済ませてからお願いするものだということだ。しかし今回はお参りしていると16時を過ぎてしまいそうだから、先に頂いてからお参りすることにしよう、という意味だった。素人の僕は、気にしなくてもいいんじゃないかと思ったが案外大事な点のようで、宮村さんが受付で御朱印帳を出すと、なんと巫女さんから「お参りはお済みですか」と確認されたのだが、宮村さんは落ち着き払って「はい」と答えたので事なきを得た。しかし今度は巫女さんが、御朱印を依頼している姿を記念撮影した僕に向かって「撮影はしないでください」と厳しく言い渡したので、慌てて「すみません」と謝罪することに。いやーちょっとびっくりしたが、御朱印受け取りは10分くらい後ということで、なにはともあれ参拝に向かう。杉の巨木に囲まれた参道を進むと、推定樹齢600年というご神木「三本杉」に出会う。更に進むと神仏習合式のため大日如来と阿弥陀如来を祭った社殿があって、その奥に立派な拝殿がある。夕闇迫る時間帯で行灯に明りがともされ、とても神秘的な雰囲気に満ちている境内だ。時間に余裕をもって来れば、更に奥の御岩山へハイキングしたり、じっくりと味わうことが出来るところのようであるが、それはまたいつかの機会に。

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御岩神社の参道 | 先に御朱印を | 三本杉

 参道を戻って無事に御朱印を受け取り、出発の準備。ついに雨粒がぽつっと来たようだが、まだ大丈夫なようだ。暗くなってきたのでライトを点灯して、もうここからピークの本山トンネルまではすぐかと思ってダウンジャケットを着込んだが、まだ70mほどのアップが残っていた。思ったより長い登りをこなしてトンネルを通り抜け、あとは暗くなった下り坂を注意して進む。日立市の中心に向かって行くに従い交通量も増えてきて、国道6号を越えて市街地に入り、16時50分ころ無事に日立駅まで到着~。日立駅はやはり巨大な造りになっていて、どこが入口か、どこで輪行したら良いか迷いつつ、屋根のない吹きさらしは寒いのでコンコースに入って進んでいくと改札を通り過ぎた先には駅ピアノがあって演奏を楽しんでいる人がいて、その先は反対側に抜けられるのかと思ったら行き止まりになっていて、イルミネーションや展望を楽しむスペースになっているようだったのでちょっと輪行作業はどうかなと思ったけど、結局ここで作業することに。作業が終わってから特急の発車まで時間が少しあったので、コンビニのスペースでお茶を飲んだりお弁当を買ったりして、特急の席はみなバラバラだったのでホームで解散となり、これにてランは無事に終了~。

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日立駅前のコンコース。天空カフェ前で輪行。

【宮村コメント】良かったこと;永源寺参拝の折り、残り紅葉を十分楽しめた。袋田の滝観瀑台へのトンネルのイルミネーションが凝っていた。エレベーターで上がった第二観瀑台から四度瀧不動尊の「奥の院」を見ることができた。奥久慈パノラマラインで巨大岩壁から成る奥久慈男体山を見上げ圧倒された。ずいぶん走行し遅めのお昼で頂いた お蕎麦、そば稲荷寿司、天ぷらが美味だった。ブランド品種「常陸秋そば」は全国のそば職人から最高峰と評価されているとのこと。味わえて幸運だった。日本全国の神様を祀る御岩神社を参拝し剛健達筆な御朱印を頂けた。厳しかったこと;昼食までのコースが昨日より厳しかった。食後、脚の疲れを感じ、ついていくのがやっとだった。阿武隈高地南部の起伏に満腹した。

【Gコメント】朝一の永源寺では、ピークを過ぎたとはいえ紅葉がすばらしかった。今回初出のパノラマラインは、このあたりが全て大きな岩盤でできていることを感じさせるに足る、アップダウンで面白かった。お昼の目当てにしていた金砂蕎麦がダメでガックリきたが、すぐに蕎麦研究会のイベントに救われたのは幸運だった。今回二日ともギリギリライト走行になってしまったが、無事走りきれて良かった。


<おわりに>
 ランの目的地としてはこれまで比較的少なめな印象の茨城県でしたが、今回は様々な名所や良いサイクリングコース、ご当地名物を発見することが出来た楽しいランでした。個人的には、9月に腰を痛めてそのあといろいろで重症化してしまい2か月も運動できていなかったので特に初日は大変だったことと、11月初めに新しい自転車を購入してラン参加準備中で、長年共に過ごしたパナソニックは今回でしばらく休眠かも?と思っていたら二日連続でメカトラを起こしてしまったことも印象に残るランとなりました。パナソニックは長い修理期間に入りますが、しっかり手直しをして、山岳ランなどハードな場面でこれからも現役で頑張ってもらうことにするつもりです。


関連リンク:
 2016年走り納め 鷲子神社
 2009年GW 福島・茨城ラン